平成23年度施政方針
更新日:2013年11月25日
平成23年度施政方針を以下に掲載いたしました。また、一番下のPDFファイルからダウンロードして見ることもできます。なお、当日の演説と表現その他に若干の違いがあることをご了承ください。
平成23年度施政方針
本日、ここに、平成23年度予算案及び関連諸議案を提案し、ご審議いただくにあたり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を申し述べ、市民並びに議員の皆様のご理解を賜りたいと存じます。
始めに
私は、市民の皆様の負託を受け、昨年7月、松戸市長に就任いたしました。就任以来、市政運営にあたりまして、政策の二つの柱として「子育て、教育、文化を軸とした都市ブランドづくり」「人と人とのつながりを大切にした地域コミュニティの創造」を掲げ、都市としての価値を高めることによって、若い人、働く世代が集まり活気のある「市民が主役の魅力あるまつど」をめざしてまいりました。
特に、市民の皆様の命と健康を守る事業を最優先に考え、子ども医療費助成の小学6年生までの拡大、子宮頸がん・ヒブ・小児用肺炎球菌ワクチン接種費用の助成、妊婦健康診査のHTLV-1抗体検査費用の助成に取り組みました。
また、早急に着手し、実行していかなければならない課題については、「松戸駅周辺地域活性化プロジェクト」「市民自治検討プロジェクト」「魅力ある子育てタウン創造プロジェクト」「病院経営健全化プロジェクト」の4つのプロジェクトをスタートさせ、スピード感ある市政運営を心がけてまいりました。
来る23年度は、松戸市総合計画後期基本計画、第4次実施計画の初年度です。「市民が主役の魅力あるまつど」の実現に向けて、具体的に取り組みを実行する挑戦の年と位置付け、全力で取り組んでまいる所存であります。
まちづくりに対する基本的な考え方(政策の二つの柱)
さて、本市は、全国的にも有名な「幸田貝塚」など縄文の昔から受け継がれてきた歴史があり、都心からの利便性も高く、水と緑と光あふれる生活都市として、人口48万5千を有するまでに発展してまいりました。
しかしながら、近年、子育て世代の人口が流出しており、今後、さらに少子・高齢化の影響が現れることから、特に、30代、40代にとって、都市としての価値を高める必要があります。
そこで、政策の柱の一つ目として、「子育て、教育、文化を軸とした都市ブランドづくり」を推進いたします。
まず、子育てにつきましては、子どもの命と健康を守り、社会全体で子育てを応援する取り組みとともに、歩道や鉄道駅のバリアフリー化や公共施設の耐震化を推進し、人にやさしい安全で安心できる生活環境の形成をめざします。
そして、松戸で子育てしたいと思われる魅力的なまちづくりをしてまいりたいと考えています。
特に、働きながら子育てしやすい環境を整備するため、駅前保育所の設置、延長保育や一時保育など保育サービスの充実を図ってまいります。
次に、教育につきましては、教育なら松戸と言われるような魅力ある教育をめざしてまいります。
本市出身の山崎直子さんは、小学生の頃、市民会館のプラネタリウムで宇宙への好奇心を育み、昨年4月、スペースシャトルディスカバリー号に搭乗し、国際宇宙ステーションでの任務を無事遂行されました。夢に挑戦する山崎さんの姿は、私たち市民に夢と希望、元気と勇気を与えてくださいました。
松戸の教育が、子どもたちの夢を大きく育む魅力あるものとなるよう施策を充実させてまいります。
次に、文化についてでございます。
先日、日本の代表的歌人与謝野晶子の歌碑が、市民の方々の熱意と好意により、戸定が丘歴史公園内の散策路に設置され、「ひなげしの小径」と名付けられました。こうしたことが、戸定が丘の文化的な価値をますます高めていくことと期待しております。
このような特色ある社会資源を活用し、文化・芸術を振興することで、地域の活性化を図り、都市としての価値を向上させたいと思っております。
そのため、新たに「文化の香りのする街構築プロジェクト」を設置し、戸定邸・千葉大学園芸学部を中心とする地域、小金宿周辺地域、21世紀の森と広場・森のホール21を中心とする地域などのまちづくりに、文化の視点から付加価値をつけ、都市ブランドの向上につながるよう検討してまいります。
子育て、教育、文化を中心に都市ブランドを育てていくためには、戦略的な広報による市のイメージアップが重要です。そのため、シティプロモーションの視点から、さまざまな広報媒体の活用を図り、おしゃれで風格ある街にしてまいりたいと考えております。
次に、二つ目の政策の柱は、「人と人とのつながりを大切にした地域コミュニティの創造」でございます。
国においても、「新しい公共」円卓会議が設置され、人々の支え合いと活気のある社会をつくるために、さまざまな当事者の自発的な協働の場づくりが進められており、自治体としての取り組みもますます重要となっております。
現在、本市には、NPO法人が約120団体存在し、地域活動、ボランティア活動などの市民活動が盛んになってきています。まつど市民活動サポートセンターが主催する若者向けの夏休みボランティア体験講座「レッツ体験2010」には、前年度比、約1.5倍の370名の中高大学生が参加するなど、関心の高まりを感じさせます。
今後は、このような市民活動の輪を広げ、市民と行政がともにまちづくりを担い、推進する視点が重要になります。
そのため、後期基本計画のリーディングプランに定めた未来像の一つである「自分たちのまちは自分たちでつくる元気な街」を実現させるため、「市民自治検討プロジェクト」を中心に、地域の問題は地域で解決する仕組みを市民の皆様とともに検討してまいります。
また、ボランティア活動をはじめ公共の場に参加する人材を増やすための人づくりを行うなど、協働のまちづくりを強化したいと考えます。
以上のような二つの政策の柱によって、「市民が主役の魅力あるまつど」の実現を図ってまいります。
市政を取り巻く社会経済環境
さて、我が国の経済情勢は、世界的な経済危機から、回復の兆しは見えるものの景気動向や雇用情勢などは、依然厳しい状況となっております。
国で審議中の23年度予算は、経済成長と雇用創出をうたい、元気な日本復活予算と位置づけて、編成しております。
この結果、国の借金である新規国債の発行額が、過去最大だった22年度並みとなっており、2年連続で税収を上回るほか、公共事業関係費が10年連続で削減される一方、高齢化に伴う医療や年金、子ども手当など社会保障関係費の大幅増額予算となっております。
また、地域主権改革の推進から、国から地方への「ひも付き補助金」が一部廃止され、基本的に地方が自由に使える「一括交付金」化が段階的に図られることとなり、今後、自治体の政策的な裁量が拡大してまいります。
本市におきましても、まちづくりのさまざまな課題に対し、政策形成能力を高め、松戸の新たな活力と成長へと結び付けられるよう取り組みが求められます。
私は、市政を取り巻くこのような環境を注視しつつ、市民の皆様が安心して暮らせるよう、極力、後年負担を抑制し、健全財政の確保を基本としながら、一方、戦略性を持った政策を立案、実行し、都市としての価値を高めるための必要な施策を実施してまいりたいと考えております。
平成23年度松戸市当初予算
次に、本市の23年度予算についてご説明申し上げます。
一般会計予算は、子育て、教育に重点化するほか必要な投資的経費を計上したこと、及び国の施策に関連した事業の影響により、前年度比69億2,000万円増の1,259億5,000万円となり、過去最大となります。
歳出の構成割合は、民生費の45.2%が最も大きく、次いで教育費の10.6%となっており、総務費を抜いて2番目となりました。
民生費は、子ども手当及び子ども医療費助成、生活保護法による各種扶助費や民間保育所の建設費補助金、介護保険特別会計繰出金などを増額計上しております。
また、教育費は、小中学校大規模改造耐震改修、5年間英語教育推進業務、小学校冷房化事業などを増額計上しております。
一方、歳入につきましては、景気低迷の影響により個人所得が減少したため、市税は前年度比1.6%の減を見込み計上しております。
財源が厳しいなかではありますが、都市ブランドの構築のための必要な投資を確保しつつ、財政健全性を保つため、一般会計市債残高は、前年度と比べ約1億1,000万円の減となり、特別会計を含めた全体の市債残高は、約18億3,000万円の減といたしました。
平成23年度の重点施策(後期基本計画リーディングプラン)
続きまして、23年度の重点施策について、後期基本計画に定めた5つのリーディングプランに沿ってご説明申し上げます。
1.市民参加・社会参加促進プラン
まず、一つ目は、市民参加、社会参加促進プランについてでございます。
本市では、「松戸市協働のまちづくり条例」に基づき、まちを構成する市民、市民活動団体、事業者及び市が協力して、地域課題の解決に取り組む協働を推進してまいりました。
この条例が、施行後3年が経過したことから、運用状況を点検し、必要な措置を検討するとともに、第2次協働推進計画の策定作業に着手し、より一層、協働によるまちづくりを進めてまいります。
また、住民生活に重大な影響を与える可能性のある政策や、住民の間で大きく意見が分かれるような政策などの実施にあたり、住民の賛否の意思を直接確認するため、一定の要件を満たせば、住民投票を行うことができる常設型住民投票条例の制定をめざしてまいります。
2.魅力ある子育て・教育創造プラン
次に、二つ目は、魅力ある子育て、教育創造プランについてでございます。
松戸で子どもを生み、育てたくなる魅力ある子育て環境をつくるため、「魅力ある子育てタウン創造プロジェクト」を中心に推進してまいります。
子育て支援策といたしましては、松戸駅、新松戸駅、東松戸駅それぞれの駅周辺で開設を予定する民間保育園の建設費用などを補助し、待機児童の解消をめざすとともに、一時預かり保育などを実施してサービスの拡大を図ります。
乳幼児とその保護者の交流の場としてご利用いただいている「おやこDE広場」については、新たに、保健師による育児相談や健康指導を行う「赤ちゃん教室」を実施いたします。また、松戸駅東口周辺の施設において広場を新設し、利用者の多い北小金、中部の2か所については、開設日数を週5日に増やします。
放課後児童クラブにつきましては、運営法人が利用者の月額利用料を15,000円から12,000円に引き下げられるよう、運営費補助金を大幅に増額いたします。施設整備では、利用児童の環境改善のため、学校敷地内への移設などを3か所実施いたします。
先般、市内3つの小学校でスタートした「放課後KIDSルーム」については、実施校を1つ増やし、子どもたちが安全で安心して過ごせる、放課後の居場所の提供を図ります。
また、推進中の「子育て応援まつドリーム事業」は、子育てみらいカード事業の周知と協賛店舗の拡大を図りながら、魅力ある子育てタウン松戸をめざします。併せて、国の「子ども子育て新システム」のモデルをめざし、必要な施策を研究してまいります。
次に、教育につきましては、後ほど、教育方針として示されますが、私からは、特に、新規事業などについて、申し上げます。
まず、小中一貫カリキュラムを構築するため、5年間英語や言語技術など魅力ある教育を行うほか、将来の市民を育てるという視点も含め「確かな学力と豊かな人間性を育む教育推進プロジェクト」を設置し、推進してまいります。
また、社会教育施設の使用料などについて中学生以下無料とし、教育機会の充実を図るとともに、本市の子育て支援策の一つとしてまいります。
次に、学校施設の整備につきましては、子どもの命と健康を守るため、引き続き、耐震改修、アスベスト対策を含め、安全で安心な教育環境の整備に努めてまいります。
昨年は、記録的な猛暑となり、厳しい学習環境であったと聞いております。
教育環境改善の対策として、冷房設備設置の設計に着手し、24年度以降、計画的に市内の小中学校、市立松戸高校の普通教室の冷房化を推進いたします。
なお、整備には時間を要することから、まず、23年度は、全小中学校の教室に壁掛け式扇風機を設置いたします。
また、小学校の校庭の芝生化に向け、校庭の一部に試験的に芝生を植え、検証を行います。
3.松戸の住みやすさ再生プラン
次に、三つ目は、松戸の住みやすさ再生プランについてでございます。
本市は、昭和30年代の団地整備と、それに伴う人口増加を背景に首都圏屈指の生活都市として、大きく成長を続けてまいりました。
しかしながら、その後、50年が経過するなかで、若年層、子育て世代にとって魅力のある都市となっているか、また、高齢者をはじめ、すべての方に住みやすい都市となっているかを検証する必要があると考えます。
そこで、新たに設置する「魅力ある大規模団地等検討プロジェクト」では、UR都市機構などの集合住宅のあるまちについて、自然、歴史文化などの地域特性を活かしつつ、子育てなど、特に地域福祉の視点から今後のまちづくりを検討いたします。
また、人口急増期に建築された公共施設が更新時期を迎えることについては、「公共施設再編整備プロジェクト」を設置し、資産管理の最適化を図る視点から、全ての公共施設の今後のあり方について、検討してまいります。
次に、市立病院の建て替えについてでございますが、現在、「松戸市立病院建替計画検討委員会」において、技術的、専門的な検証を行っており、答申を頂いた後、市としての方針を検討いたします。
市立病院につきましては、東葛北部地域の中核病院として高度で良質な医療を引き続き提供していけるように、早急な施設整備や必要な人材確保を行うとともに、「病院経営健全化プロジェクト」を中心に経営の健全化について、取り組んでまいります。
次に、都市計画につきましては、新たに設置する「都市計画検討プロジェクト」を中心に、本市の都市ブランドの向上に向けた土地利用の課題などを調査し、本市の将来像に適合した都市計画を研究してまいります。併せて、長期未着手となっている都市計画道路を中心に必要性を検証し、実現可能な将来の道路ネットワークのあり方を検討してまいります。
また、市民の住環境の満足度の向上のため、快適に住み続けられる「住まいづくり・住環境づくり」の指針となる「住生活基本計画」に基づき、住宅の耐震化やバリアフリー化推進などに取り組んでまいります。
本市は、成熟社会を迎えるなかで、物質的な豊かさから精神的な豊かさが感じられるまちづくりが求められています。
そこで、その一つの方策として、文化・芸術によるまちづくりを推進してまいります。引き続き、上野から取手までの常磐線沿線自治体、JR東日本、東京藝術大学との連携により、アート情報を発信していきます。
また、国の重要文化財であります戸定邸にてアートイベントを開催するとともに、特に10月から12月のJOBANアートライン月間に合わせ、松戸駅周辺地域などについてアート事業を展開してまいります。
4.地域産業活性化プラン
次に、四つ目は、地域産業活性化プランについてでございます。
本市の顔となる松戸駅は、JR東日本においてバリアフリー化を含めた駅改造に関する基本設計に取り組んでおります。今後は、実施設計、さらに工事着手に向けて準備を進めることとなりますが、「松戸駅周辺地域活性化プロジェクト」を中心に、引き続き、JR東日本と、十分な協議を重ねてまいります。
次に、商工振興につきましては、先行き不透明な経済状況の中で、市内の企業、商店会への支援、新たな企業誘致などを検討するため、「中小企業支援・商店街活性化プロジェクト」「工業団地のあり方再検討プロジェクト」を設置いたします。
「中小企業支援・商店街活性化プロジェクト」におきましては、商工会議所をはじめ各種団体との連携を深め、市内の商工業を支える中小企業者のニーズを把握し、必要な支援策を研究いたします。
23年度に、創立60周年を迎える松戸商工会議所は、商業活性化の起爆剤として、商店会や事業者と連携し、5億5千万円のプレミアム商品券を発行いたします。本市におきましても、それを支援し、地元での消費拡大を図り、にぎわいのある元気な商店街へと活気づけてまいります。
また、中小企業の振興を図るため実施している中小企業相談に加え、新たに中小企業診断士が直接事業所を訪問し、経営診断などを実施いたします。
空き店舗対策につきましては、空き店舗対策モデル事業として、新松戸四丁目商店会に対し、引き続き支援してまいります。
また、「工業団地のあり方再検討プロジェクト」は、松戸の経済成長に貢献してきた工業団地の現況を把握するとともに、新たな企業の誘致を図るための支援策などを検討してまいります。
5.行財政健全・安定化プラン
次に、五つ目は、行財政健全・安定化プランについてでございます。魅力的なまちづくりを行うためには、より効果的な施策を厳選するとともに、必要な財源を確保することが重要です。新たに「行財政改革プロジェクト」を設置し、政策目的を明確にした後期基本計画と第4次実施計画を推進するなかで、外部の視点も入れた行政評価や事業仕分けなどの手法により、時代に合わない事業の見直しや、民間活力の活用などを検討いたします。
その結果として、財政の健全化を図り、都市ブランドの構築に必要なまちづくりへの集中的な投資が行える財政をめざします。
平成23年度の主要な施策
続きまして、施策の大綱に沿って、23年度の主要な施策についてご説明申し上げます。
第1節 連携型地域社会の形成
はじめに「連携型地域社会の形成」をめざす施策について申し上げます。
まず、市民の皆様の利便性向上のため、松戸駅構内の行政サービスセンターにおいて、毎月第2日曜日の開設を実施いたします。
また、耐震基準に満たない馬橋支所は、馬橋駅と直結し、商業施設、駐輪場などが入る複合ビルに移転いたします。新たに受付番号発券機も設置するなど、窓口サービスのさらなる向上を図ってまいります。
小金市民センターについては、エレベーターを設置し、外部スロープなどのバリアフリー化を図ります。
また、地域における住民自治の育成及び振興のため、町会、自治会が行うコミュニティ活動の拠点施設として、千駄堀新山町会集会所の新築に対し、補助してまいります。
協働のまちづくりを推進する協働事業提案制度では、引き続き、小中学生を対象とした理科実験に関する事業や、シニア交流センターにおける生涯学習事業など、12団体に負担金を交付いたします。
松戸市協働のまちづくり基金を活用した市民活動助成事業では、森の再生事業、AEDの使い方普及事業など、15団体に対し、助成金を交付いたします。
男女共同参画に関する取り組みにつきましては、男女共同参画プランの第4次実施計画を策定するため、市民の皆様、小学校6年生とその保護者、職員を対象に意識調査を実施いたします。
第2節 豊かな人生を支える福祉社会の実現
続きまして「豊かな人生を支える福祉社会の実現」をめざす施策について申し上げます。
健康増進・疾病予防につきましては、国民健康保険の被保険者に対して、特定健康診査の自己負担金の無料化、及び人間ドックの受診費用の一部補助を実施することにより、特定健康診査の受診率向上を図ります。
また、後期高齢者医療保険の被保険者におきましても、人間ドック受診費用の一部補助を実施いたします。
なお、国民健康保険料につきましては、保険給付費などが増大しておりますが、一般財源を投入し、保険料率の据置きを図ります。
老人福祉施設の整備につきましては、特別養護老人ホームの新設3件、増設1件などを行う法人に建設費用の一部を補助し、広域型・地域密着型あわせて新たに219床を整備いたします。
また、夜間対応型訪問介護の拠点整備を行う法人に対し、通信機器などの整備費などを補助いたします。
認知症高齢者グループホームの安全対策につきましては、スプリンクラーなどの整備に対する補助を引き続き実施し、これにより市内での整備がすべて完了いたします。
また、ボランティア活動に応じたポイントを介護保険料の納付などに充てることにより、高齢者の社会参加活動の動機付けを行い、併せて介護予防の効果や介護給付費の抑制が期待できる介護支援ボランティア制度の導入に向けた検討・検証を実施いたします。
障害がある方に関する施策につきましては、新規開設1か所分を含め、地域活動支援センターの運営費を補助し、福祉的就労の場の確保とセンター運営の安定化を図ってまいります。
財団法人生きがい福祉事業団につきましては、国の公益法人制度改革の流れもあり解散いたしますが、生きがい福祉センターにて提供しておりました就労継続支援のサービスなどすべてのサービスは、新たに設立される社会福祉法人に引き継がれます。
第3節 次代を育む文化・教育環境の創造
続きまして「次代を育む文化・教育環境の創造」をめざす施策についてでございます。
まず、国際交流についてでございます。
23年度は、オーストラリアのホワイトホース市との姉妹都市提携40周年の記念すべき年にあたります。
そこで、両市の交流の歴史を再確認し、友好の絆を深めるため、ホワイトホース市民を含む公式訪問団を迎え、記念式典を開催いたします。
記念式典では、姉妹都市交流に多大な功績のありました方に松戸市特別名誉市民証の授与を予定しております。その他、記念植樹などを通じ、ホワイトホース市民との一層の交流、親善を図ってまいります。
次に、平和事業につきましては、戦後66年を迎え、戦争を体験した人が少なくなるなかで、次の世代に着実に平和の大切さや戦争の悲惨さを継承してまいります。そのため、引き続き、中学生を平和大使として、長崎市で開催される「青少年ピースフォーラム」に派遣いたします。
昨年、私は、平和大使の任命式並びに報告会に出席をいたしました。報告会では、真剣な眼差しで平和について語る姿が大変、印象的でした。平和大使が長崎での体験やピースフォーラムを通して、被爆の実相と平和の尊さを認識し、戦争や核兵器のない平和な未来を築く心を育んでいただきたいと思います。
第4節 安全で快適な生活環境の実現
続きまして「安全で快適な生活環境の実現」をめざす施策について申し上げます。
まず、地域防犯活動についてでございますが、本市は、19年度に市民、地域、警察、行政が一体となった「松戸市警防ネットワーク」を創設し、安全で安心できる社会を守る取り組みを進めてまいりました。これらにより、刑法犯の認知件数は、8年連続で減少しております。しかしながら、ひったくりや空き巣、振り込め詐欺などが後を絶たず、市民の皆様の不安感が解消されるにいたっておりません。
今後も青色回転灯装備車両によるパトロールを強化するとともに町会・自治会、防犯活動団体が行う防犯活動を積極的に支援してまいります。
また、市内3つの地区では、地域主体で防犯に取り組む「地域防犯対策連絡協議会」が設置され、活発な活動がされております。こうした取り組みのさらなる活性化を図るため、新たに活動のための支援をしてまいります。
市民防災活動につきましては、町会・自治会などに対し、引き続き、自主防災組織の結成を促すとともに、災害時の被害防止活動を行うための機材整備の支援を行い、災害時に助け合える地域づくりを推進してまいります。
老朽化した小金消防署の建て替えにつきましては、松戸市北部地域における災害対応力強化の観点から、小金地域はもとより、人口が集中する新松戸地域の災害にもより迅速に対応できるよう、25年度中の開署に向けて建設工事に着手いたします。
次に、地球温暖化をはじめとする環境施策についてであります。
昨年12月、本市と協働事業を推進している市民団体「アースコン・マツド」が環境大臣表彰を受賞されました。「対策活動実践部門」での表彰であり、長年にわたる温暖化防止活動が高く評価されたものです。本市では、今後も、市民・事業者とさらに連携しながら、松戸市地球温暖化対策地域推進計画、通称、減CO2大作戦に基づき、長期的かつ継続的に温室効果ガスの削減に取り組んでまいります。
また、小学生による「(仮称)減CO2こども会議」を開催し、減CO2の提案や意見を交わす場を提供するなど、裾野を拡大する取り組みも始めます。
なお、ごみの分別向上やごみ出しの利便性向上を目的に、燃やせるごみの紙袋収集の見直しを実施し、紙袋だけでなく、市が認定したポリ袋でも、燃やせるごみを出せるように取り組んでまいります。
次に、人と自然が共生するまちづくりについては、「松戸里やま応援団」や「松戸花壇づくりネットワーク」など、みどりの市民力によるこれまでの取り組みが評価され、昨年10月に財団法人都市緑化基金主催の「緑の都市賞」において、「国土交通大臣賞」を受賞いたしました。
うるおいと安らぎのある都市環境を形成するために、都市緑化や緑の保全に市民の皆様とともに、努めてまいります。
また、市街地の中の貴重な樹林地を恒久的に保全するため、栗山地区の斜面林約2ヘクタールを特別緑地保全地区に指定しており、さらに23年3月までに矢切地区の一部約0.8ヘクタールについても指定いたします。今後も指定の拡大に向け、「関さんの森」の自然環境調査を実施します。
新たな公園の整備といたしましては、胡録台地域の都市計画決定している「拓野公園」用地の一部を確保します。
戸定が丘歴史公園に隣接する福島県学生寮は、3月末をもって廃止となることから、戸定が丘一帯の自然環境や景観の向上を図るため、この用地を確保すべく引き続き福島県と協議を進めてまいります。
第5節 魅力ある都市空間の形成と産業の振興
続きまして「魅力ある都市空間の形成と産業の振興」をめざす施策について申し上げます。
まず、雇用・就労の支援に向けた取り組みについてでございますが、現在の雇用失業情勢は、持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にあります。
このため、離職を余儀なくされた非正規労働者や中高年齢者などの失業者に対して、次の仕事までの短期の雇用・就業機会を創出、提供する緊急雇用創出事業として、23年度は18事業、145人を雇用する計画となっております。
また、独立行政法人雇用能力開発機構が施設を所有する「松戸地域職業訓練センター」を無償で譲り受け、地域の雇用関係の中核施設として、各種職業訓練講座・講習を行う職業訓練法人に対し、支援してまいります。
特に、若者就労支援事業については、より就労につながりやすくなるよう従来のパソコン・簿記講座から、医療事務と介護の講座へ移行することにより、若者への就職支援の充実を図ってまいります。
次に、景観行政についてでございます。
景観資源を活かした美しいまちなみの形成を進めるため、建築物の形態・意匠や色彩について規制誘導を行い、市民とともに景観づくりを進める「松戸市景観計画」及び建築行為などに対する事前協議や届出など必要な手続きを定める「松戸市景観条例」を施行いたします。
景観計画では、地域の景観に対して大きな影響を与える公共施設を「景観重要公共施設」として、坂川、21世紀の森と広場など8施設を定めております。
こうした行政による先導的な取り組みは、千葉県初の試みであり、今後の松戸らしい街並み景観の形成に重要な役割を果たすものでございます。
そこで、松戸神社付近の坂川については、植栽や修景に配慮した川づくりを行い、水やみどり、歴史を大切にする水辺環境の整備に努めてまいります。そして、それぞれの地域特性を活かしたうるおいと安らぎのある豊かで良好な景観を市民の方々とともに創造してまいります。
建築物の耐震化につきましては、「松戸市耐震改修促進計画」に基づき、市有建築物の耐震化を計画的に進めております。
なお、児童・生徒の安全及び地域の震災時における応急活動拠点として重要な施設である小中学校の屋内体育館は、補強を要するすべての耐震補強工事が、23年度末に完了いたします。
また、民間木造住宅の耐震化の促進に向けては、耐震診断費及び耐震改修費に対する助成金の制度を改定し、より多くの市民が活用しやすい仕組みにしてまいります。
市営住宅につきましては、21年度より進めてまいりました常盤平併存市営住宅の解体を行うとともに、横須賀市営住宅について耐震改修工事の実施設計をいたします。
次に、交通バリアフリーについてでございます。
本市は「松戸市交通バリアフリー基本構想」において、鉄道駅を中心とした誰もが安心してスムーズに移動できるまちを目標に掲げ、整備を進めております。23年度は、鉄道事業者のバリアフリー化事業に支援し、エレベーターなどの整備をJR「北小金駅」、新京成線「八柱駅」、「元山駅」の3駅を対象に建設する予定となっております。これにより、バリアフリー化の対象である20駅のうち、15駅について、経路が確保されます。
また、基本構想の重点整備地区である松戸地区は、引き続き、松戸駅から戸定が丘歴史公園までの経路と、新たに松戸駅から松戸中央公園までの経路のバリアフリー化工事を実施してまいります。
次に、市内中央部を縦貫する幹線道路である都市計画道路3・3・7号横須賀紙敷線につきましては、新設の市道の建設を継続し、幸谷・二ツ木区間の供用開始をめざします。これにより、新松戸地域と小金原、常盤平地域との交通の連絡性や国道6号から新松戸地域への接続が大きく改善され、新松戸駅東側の市街地環境が変わるものと想定されます。そこで、都市計画決定している新松戸東部土地区画整理事業区域内の今後のまちづくりの方針策定に向けて、調査検討に取り組んでまいります。また、河原塚・紙敷区間につきましては、千葉県の協力のもと、効果的な道路構造などを検証し、早期事業化に向けて取り組んでまいります。
浸水対策といたしましては、引き続き春木川の改修事業を進め、高暮橋から爽やか橋までの完了を目指します。また、紙敷川、長津川、上富士川の改修事業を継続して行うとともに、松戸新田地区、新松戸駅東側地区につきましても、引き続き排水施設の整備事業を進めてまいります。
水道事業といたしましては、安全な水を安定的に供給するために、石綿管更新事業を25年度の完了を目標に継続して実施してまいります。
下水道事業につきましては、約40ヘクタールの面整備を実施いたします。この整備が完了しますと下水道の普及率は約82%になりますが、さらなる整備、普及の拡大をめざすとともに、既存施設の機能及び市民生活の安全を確保するため、計画的な調査・点検に基づき、適切な改築及び修繕を実施してまいります。
また、マンホールの浮上防止対策や公共下水道を利用した水洗式仮設トイレを設置する下水道地震対策緊急整備につきましても、引き続き実施してまいります。
第6節 都市経営の視点に立った行財政運営
続きまして「都市経営の視点に立った行財政運営」をめざす施策について申し上げます。
財政状況につきましては、依然として厳しい経済状況が続くなか、本市においても例外なく厳しさを増しております。このような状況下において、自主財源の確保は自律的な市政運営に不可欠と考えております。
そこで、22年度より、市税、国民健康保険料、保育料などの長期にわたる滞納者からの徴収を一元的に行う部署として、特別債権回収室を設置いたしました。22年12月末日現在で未収公債権のうち、約3億8,000万円が移管され、そのうち約2億1,000万円の回収効果を上げております。引き続き、債権回収の向上をめざしてまいります。
さらに、広告事業及び売却可能資産の処分なども強化し、一層の自主財源の確保を図ってまいりたいと思います。
学校跡地につきましては、廃校4校のうち、新松戸地域にある2校について、新松戸地域学校跡地有効活用検討会議から答申書が提出されることになっております。これを受けて、新松戸北小学校跡地及び新松戸北中学校跡地の有効活用基本計画の策定に向けて検討してまいります。
次に、20年度から策定してまいりました総合計画後期基本計画につきましては、23年度から始まる財政的な裏づけをもたせた第4次実施計画により、事業化して推進してまいります。
後期基本計画の策定にあたっては、できるだけ多くの市民の皆様と松戸の明るい未来を一緒に想像し、その想いを共有し力を合わせた計画づくり、「イマジンまつど~私たちの明るい未来をつくる~」を行ってまいりました。
私は、この取り組みの価値は、市民の皆様の考えを直接、伺い、それを計画に盛り込んでいったプロセスにあると考えております。
また、後期基本計画の特徴は、市民と行政それぞれの役割を設定し、多様な担い手により推進すること、そして「めざそう値」により、計画の達成状況を市民と共に確認できることにございます。
今後、市民と職員、市民同士など様々な場面で対話の場をつくり、市民参加を図りながら、計画の着実な推進をめざしてまいります。
以上、23年度の主要な施策について、その概要を申し上げました。
結び
さて、私は、松戸には、多くの強みがあり、都市としての価値を上げる潜在力は高いと考えております。
代表的な強みである交通利便性は、昨年、「成田新高速鉄道」の開業とアクセス特急の東松戸駅停車によって成田空港や羽田空港への直通が実現し、25年度には、常磐線が東京駅乗り入れと、東海道線への直通運転も可能となる予定であり、一層の向上が期待されます。また、特色ある4つの大学、6路線23の駅、90を超える商店会や緑豊かな自然環境など住みやすさを支える強みも数多くあると感じています。
こうした強みを活かしながら、23年度は、12の戦略プロジェクトを中心に、市民の皆様とスクラムを組んで「市民が主役の魅力あるまつど」の実現のため、全力で市政運営に臨んでまいる所存であります。
そして、夢が持てる明るい未来の松戸をつくり、都市間競争に打ち勝ち、48万5千人の信頼に応えてまいります。
最後に、市民の皆様をはじめ、議員各位のご支援、ご協力をお願い申し上げ、23年度の施政方針とさせていただきます。
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