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平成28年度施政方針

更新日:2016年2月22日

 平成28年度の施政方針を以下のとおり掲載します。また、PDFファイルのダウンロードも可能です。

施政方針

 本日、ここに、平成28年度予算案及び関連諸議案を提出し、ご審議いただくにあたり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べ、市民の皆さま並びに議員各位のご理解を賜りたいと存じます。

始めに

 先ず、国の動向について、述べさせていただきます。
 我が国は、平成20年をピークに人口減少局面に入っており、減少幅も年々拡大しています。
 人口減少、少子高齢化の進行は、働く人の減少だけでなく、将来の経済規模の縮小や生活水準の低下を招き、経済の持続可能性を危うくするという認識が、将来に対する不安や悲観につながっています。
 また、高齢化は、世界的にみても空前の速度と規模で進行しており、その中でも、本市を含む東京圏においては、今後、急速に進展し、2015年から2025年の10年間で75歳以上の高齢者が175万人増加すると見込まれ、医療・介護ニーズの増大、人材不足が指摘されています。
 現在、政府は、一人ひとりが家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる「一億総活躍社会」を実現することを目標に掲げ、具体的には「名目GDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」の実現に向けた取組みを進めているところです。

 次に、本市の昨年を振り返りますと、明るい話題が多い一年でした。スポーツの分野では、専修大学松戸高等学校野球部が、本市から初めて甲子園に出場しました。甲子園で奮闘する球児たちの勇姿は、市民に大きな感動を与えてくれました。
 文化の分野では、戸定邸庭園が芸術的な価値、日本庭園史における学術的価値が評価されて、国の名勝に指定されました。未来に受け継ぐ本市の宝として、これからも市民の皆さまに愛される文化財であって欲しいと願っています。
 市民安全の分野では、市内における年間の刑法犯認知件数が、36年ぶりに4,800件を下回り、4,792件となり、最も多かった平成11年の13,677件と比較すると、65%減少しました。また火災発生件数も50年ぶりに110件を下回り、106件となり、最も多かった昭和48年の256件と比較すると、59%減少しました。特に放火及び放火の疑いの件数は、22件となり、昨年比44%減となっています。防犯カメラの設置、防犯灯のLED化等の効果、そして何よりも、地域の防犯・防火活動が着実に成果に結びついたものと考えております。
 施策の面でも成果が評価された年でもありました。力を入れてきた子育て支援の分野では、日本経済新聞社関連のランキング調査で、「共働き子育てしやすい街」として県内では1位、全国でも東京都を除いて9位と高い評価をいただき、高齢者支援の分野でも、同社の別のランキング調査で「介護・高齢化対応度」が県内2位と高い評価を得ました。
 このことは、市民の皆さま、議員各位並びに職員の取組みにより、成し遂げられたことであり、大変感謝いたしております。この場を借りて、お礼を申し上げます。

まちづくりに対する基本的な考え方

 それでは、まちづくりに対する基本的な考え方について述べさせていただきます。
 少子高齢化の進展に伴う人口減少社会の到来は、本市においても例外ではなく、国立社会保障・人口問題研究所によると、本市の人口は現在の48万人から2060年には32万人となり、16万人減少すると推計されています。その際、生産年齢人口比率は66%から49%に減少し、老年人口比率は21%から42%に増加するとされており、税収の低下や社会保障を維持するための予算の肥大化が懸念され、危機感を持って対応していくことが必要であると考えています。
 国も、急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、活力ある日本社会を維持していくために、「まち・ひと・しごと創生法」を制定し、国と地方が一体となり、中期的視点にたって諸課題に取り組んでいくことになりました。本市ではこれまでも総合計画に基づき、活力ある地域社会の維持のため、若者や子育て世代に魅力あるまちづくりを進め、定住や流入の促進を図ってまいりましたが、国の動向も踏まえ、昨年10月に人口の現状と将来の展望を提示する「松戸市人口ビジョン」を策定しました。この人口ビジョンでは、本市の持つ魅力、潜在能力を最大限活用し、良好な居住環境の整備、経済の活性化により、現在の人口規模を維持していくことを将来展望として掲げました。このためには、出生率が、国の人口ビジョンと同じく、2030年までに1.8となった上で、人口流入についても、最終的には年間2千人程度の流入超過を実現しなければなりません。大変に挑戦的な将来展望ではありますが、本市が将来にわたり発展していくために、強い決意をもって、その実現のための施策に取り組んでまいります。
 そのために、「松戸市総合戦略」を策定し、その取組みを通して、少子高齢化への対応を図りつつ、多世代がともにいきいきと暮らすことができるまちをつくってまいりたいと考えています。
 総合戦略では4つの基本目標を設定しました。
 一つ目は「子育て・教育・文化を軸とした都市ブランドづくり」です。
 本市の人口規模を維持するためには、市内の方には、「引き続き松戸市で暮らしたい」また市外の方には、「松戸市で暮らしてみたい」と思っていただけるように、本市での生活に今まで以上の魅力を感じていただく必要があります。特に、子育て世代の方々が、住居を選ぶ際に関心の高い子育て環境、教育環境そして文化に親しめる環境を充実し、都市ブランドを高めてまいります。なかでも安心して子どもを産み育てる環境の整備は、活気あるまちとしていくためにも、取り組むべき最優先の課題であると認識しています。
 そこで、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえ「東京に隣接した子育てしやすいまち」として子育て世代から選ばれるまちづくりを進めます。
 二つ目は、「高齢者がいつまでも元気に暮らせるまちづくり」です。
 2025年には、75歳以上の後期高齢者が約8万人になると推計され、市民の6人に1人の割合です。さらに65歳以上の高齢者は、4人に1人となります。年齢を重ねても、生活習慣病などの病気を患うことなく、有する能力に応じ、自立して、楽しく生活を送れる期間、つまり健康寿命の延伸を図ってまいりたいと思います。そこで、高齢者の食生活の改善や運動習慣を身に付けるなど、健康づくりへの意識の向上、地域とのつながりをもつための社会参加の促進などを図ります。
 しかしながら、医療や介護が必要となる場合があります。そのような時には、誰もが安心して適切なサービスを受けることができるように、医療や介護などの高齢者支援サービスの充実を図り、安心して暮らしを続けることができるようにします。このように、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにするためには、公的サービスの充実だけでは達成できません。市民の皆さまが互いに支え合う意識づくり、地域づくり、そして、サービスの仕組みづくりを推進してまいります。
 三つ目は、「まちが再生し、賑わいのあるまちづくり」です。
 本市が誕生してから70年余り、当時の人口は4万人でしたが、鉄道網の整備や大規模な集合住宅の造成などにあわせて人口も急増し、昭和55年には40万人を超えました。その後、さらに40年近くが経過しようとしており、本市も成熟した都市から新たな転換を志向する時期に入りつつあると考えています。東京外かく環状道路は、平成29年度に開通が予定されており、本市にも初めて高速道路のインターチェンジが設置されます。国と県に要望活動を続けている、北千葉道路は、未着手区間において国の直轄調査が行われており、今後の整備に向けて大きな期待を寄せております。また、昨年には「上野東京ライン」が開業し、東京に隣接した本市の交通利便性はさらに向上しようとしています。これからは、まちの資産を時代に合わせて、再生・進化させる必要があると感じています。
 そこで、昨年6月に策定した「松戸駅周辺まちづくり基本構想」に基づき、松戸駅周辺の活性化を図り、また他の地域についてもさらなる検討を重ね、賑わいのあるまちづくりにつなげていきます。
 四つ目は、「経済が活性化し、安心して働けるようになるまちづくり」です。
 本市をさらに元気のあるまちとしていくためには、市内でいきいきと働いたり、買い物や娯楽を楽しむ人が増えていく必要があります。都内への交通利便性を背景に発展してきた本市ですが、さらなる成長のために、市内への企業の誘致や産業の創出などにより雇用の機会を増やします。また、既に市内で営まれている企業のため、経営安定や発展のための支援施策を充実します。様々な人が、継続して、やりがいのある仕事に就けるよう就労支援を実施します。
 子育て世代が増え、市内で買い物や食事をする人たちが増え、さらには、いきいきと働く人たちも増えることで、経済の活性化が図れ、好循環につながるものと考えています。

平成28年度予算

 次に、本市の新年度予算についてご説明申し上げます。
 新年度の一般会計予算は、1,524億8,000万円を計上いたしました。松戸市土地開発公社解散に伴う用地の買戻しや、市立小・中学校への空調設備設置などの支出を予定していることもあり、昨年度の一般会計予算と比較して、7.6%増加しております。
 歳入の根幹をなす市税につきましては、景気は緩やかな回復基調にあり、市税全体では前年度より5億円増の670億円を見込んでおります。
 歳出の構成比につきましては、民生費が47.8%と最も高く、次いで土木費の13.7%、教育費の10.0%の順となっております。
 私はこれまで、管理職の削減、俸給表の見直しなどによる、人件費の削減や、道路照明灯のLED化による電気代の大幅削減などの経費節減に努めてまいりました。また、歳入確保のため、余剰電力の売電なども実施してまいりました。
 しかしながら、経済の先の見通しが難しい中での財政運営でありますので、今後も、経費節減や事業の見直しなどにより、継続的に健全財政を確保することを基本とし、将来的に本市が発展していくため、優先度の高い施策には積極的に投資してまいります。

 続きまして、新年度の主要な施策について、ご説明申し上げます。

子育て・教育・文化を軸とした都市ブランドづくり

 先ず、総合戦略の基本目標である「子育て・教育・文化を軸とした都市ブランドづくり」をめざす施策について申し上げます。
 子育て施策につきましては、誰もが輝き、安心して結婚、出産、子育てができるまちづくりを進めます。
 結婚活動への支援につきましては、婚活講座の開催や、農業体験型婚活を通じて、出会い、仲間づくり、結婚へとつなげます。
 周産期医療体制の整備につきましては、東葛北部保健医療圏の要としての医療を担ってきた市立病院が、先般の千葉県周産期医療審議会による承認を受け、本年4月1日に同医療圏で初となる「地域周産期母子医療センター」を開設するための準備を進めており、引き続き高度で安定した周産期医療を提供してまいります。
 乳幼児への予防環境の充実につきましては、出産後の親子の生活を支援する宿泊型産後ケア事業に加え、自宅で利用できる訪問型や日帰り型を拡充します。また、予防接種として、新たにロタウイルスワクチンの接種費用の一部助成を開始するとともに、従前のおたふくかぜの予防接種費用の助成についても、2回に拡大します。B型肝炎を含めた3種類の任意の予防接種費用の助成は本市と人口が同規模以上の都市では全国初となります。
 さらに、幼児のむし歯予防対策として、予防に効果的とされるフッ化物洗口事業を保育所等で実施していくことにより、歯と口腔の健康づくりを進めます。
 子育ての経済的負担の軽減につきましては、小学校3年生までの児童が3人以上いる世帯を対象に、第3子以降の保育料を無償にします。また、子育て世代が、親元に住まいを取得する際の費用の一部を助成することにより、子育てをサポートできる体制を整備し、若年世代の呼び込みと定住化を促進します。
 子育ての相談体制の充実につきましては、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を構築するため、市内3か所の保健福祉センター内に「(仮称)子育て世代包括支援センター」を設置します。また、おやこDE広場と子育て支援センターを、新たに3か所開設して、併せて子育てコーディネーターを配置します。
 生活困窮者世帯やひとり親世帯の学習支援として、実施地区を増やし、対象も小学校5・6年生まで拡大します。また、子どもの貧困対策として、庁内に横断的な検討組織を設置し、総合的な取組みを推進します。
 子育てと仕事の両立への支援につきましては、先ず、待機児童を解消するための対策が大きな課題と考えています。
 新設される民間保育所に、工事費等の補助を行うとともに、賃貸物件等を活用して小規模保育事業所を設置する法人等に対しても、開設に必要な経費を補助します。公立保育所としては、松戸駅周辺地区の保育需要に対応するため、旧古ヶ崎南小学校の校庭内に保育所を新設します。また、保育士の確保として、民間保育所を対象に、宿舎借上げ及び、就職支援の補助などを行うとともに、保育所で働きながら保育士資格取得をめざす人に対しては、学習費用を補助します。
 その他、定員に空きがある他の地域の保育所に、児童をバスで送迎する「送迎保育ステーション」を引き続き実施します。
 さらに、私立幼稚園預かり保育の利用を促進するため、人件費を補助し、利用者には預かり保育負担額が保育所の保育料と同額程度になるよう助成します。これらの様々な取組みを通して待機児童ゼロをめざしてまいります。
 病気により集団保育が困難な児童を対象とした病児保育を、本年3月に1か所開設し、さらに新年度も1か所開設することにより、多様な保育ニーズに対応します。
 全ての小学生が安全・安心に過ごすことができるようにするため、学習やスポーツなどに取り組める、放課後KIDSルームの開設校を増やすとともに、補習等を行う学習支援のモデル事業を実施することで、小学生の放課後の居場所づくりを充実します。
 子どもと安心して外出できる公園の整備につきましては、21世紀の森と広場に、アート感覚や子ども目線による新たな施設設置を検討するとともに、小金地域の公園を再整備するための工事に着手します。
 このような子育て支援の取組みを、より広い地域の人々に知ってもらうため、映画館でのCM枠を活用するなど、効果的なプロモーション活動を展開してまいります。

 次に、教育施策につきましては、主体的、創造的に子どもが育つまちづくりを進めます。
 本市の教育、学術及び文化の振興に関する施策の根本的な方針となる「松戸市教育大綱」を今年度設置した「総合教育会議」で協議・調整を経て策定したところです。教育委員会とこれまで以上に緊密に連携し、教育・文化などに関する諸施策を推進します。
 確かな学力と豊かな心を育む教育環境の整備につきましては、先ず、幼児教育の充実として、本市が推奨する絵本の中から保護者が選択した1冊をプレゼントする「ブックスタート」や、幼稚園、保育所で、遊びを通して英語に触れたり、外国人との交流を体験する「楽しい英語あそび」事業を開始します。また、幼稚園、保育所、小学校の連携を図り、子ども達がスムーズに小学校に進学できるように、それぞれの職員が互いに情報交換を行いながら環境を整備します。
 施設整備としては、「東松戸小学校」が29年ぶりの新設小学校として、4月に開校します。また、全ての市立小・中学校に、エアコンを設置し、2学期のなるべく早い時期に供用開始できるよう準備を進めます。

 次に、文化施策につきましては、暮らしている人や訪れる人が日常的に歴史・文化を感じられるまちづくりを進めます。
 「文化の香りのする街・まつど」の取組みにつきましては、昨年、ユネスコ創造都市の日本版のネットワークに加盟しました。これまで以上に多種多様な海外アーティストを松戸に招聘し、幼稚園・保育園への派遣や公園アート展示により、パラダイスエアを日本最大規模のアーティスト・イン・レジデンスとすることをめざします。また、国の名勝に指定された戸定邸庭園は、国の重要文化財である建物と庭園の調和が生み出す価値を高めるため、平成29年度の完成をめざして、庭園の復元工事に着手します。
 次に、JR松戸駅は、本年、開業120周年を迎えます。本市の発展に大きく寄与してきた松戸駅をお祝いするため、JOBANアートラインの一環として本市で独自のイベントを実施します。
 国際交流の取組みにつきましては、本年はホワイトホース市と姉妹都市締結45周年という節目の年を迎えます。締結記念日である5月に、同市を訪問して本市を大々的にPRします。
 2020年に開催される、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組みにつきましては、スポーツに関わる各組織・大学と積極的に連携を図ります。海外チームの事前キャンプの誘致活動を進めるとともに、スポーツ選手を小中学校に招き交流を行う「夢の教室」を拡大して開催します。今年の夏には、2016年リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されますが、女子7人制ラグビーと、車椅子で行うウィルチェアーラクビーでは、本市出身である選手が、出場権獲得に貢献されました。今後の活躍にも期待を寄せて、選手の応援・支援を進めます。
 子育て・教育・文化を軸とした都市ブランドをPRしていくために、シティプロモーションの取組みが重要であると考えています。「まつどやさしい暮らしラボ」の市民メンバーや市民記者の皆さんと一緒に、情報共創型の活動を推進していくとともに、都内の各駅で本市の広告を掲出したり、子育て世代に向けたPR冊子の配布、FMラジオ番組の放送などにより、本市の魅力や、住む人にやさしいまち、「やさシティ、まつど。」を市内外に向けて発信してまいります。

高齢者がいつまでも元気に暮らせるまちづくり

 続きまして、「高齢者がいつまでも元気に暮らせるまちづくり」をめざす施策について申し上げます。
 健康増進事業につきましては、健康松戸21スリーに基づき、健康マイレージ事業や食習慣実態調査を実施するほか、ロコモティブシンドローム予防啓発に関する講演会等を開催します。また、がんの早期発見、治療につなげられるよう、無料クーポン券を発行するほか、要精密検査未受診者へ受診勧奨を行います。
 さらに、誰もが外出しやすい環境づくりとして、市民、交通事業者、学識経験者及び関係機関で組織する協議会を設置して、地域の特性に適した交通手段の導入について、地元の意見を取り入れながら検討します。
 新市立病院につきましては、昨年12月に建設工事に着手し、平成29年12月の開院に向けて、医療体制の確保などの準備も合わせて進めます。一方、現在の市立病院利用者の利便性向上のため、八柱駅方面からのルートについてシャトルバス運行の実証実験に取り組みます。
 また、都市計画道路3・3・6号三矢小台主水新田線(八ヶ崎・二ツ木地先)は、新市立病院の開院前に、国道6号線までの区間の供用開始をめざします。
 安全で安心な医療を受けられる体制として、初期医療から高度医療、在宅医療、災害医療において充実した医療を提供するため、医師会、歯科医師会、薬剤師会等の様々な関係機関と連携を図ってまいります。
 介護保険サービスの充実につきましては、地域包括ケアシステムの構築に向けて、高齢者が住み慣れた地域で、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるようにするため、住民・地域・事業者・関係機関・行政が共通の認識を持てるよう継続的に推進します。
 また、市町村単位で行う地域支援事業の中で、全ての高齢者を対象とした一般介護予防事業と併せ、要支援者を中心に多様なサービスを充実するとともに、地域支援事業全体の機能強化を図るため、在宅医療・介護連携推進事業、認知症施策推進事業、生活支援体制整備事業、地域包括支援センターの運営強化を推進します。
 特別養護老人ホームの整備として、第6期介護保険事業計画に基づき、紙敷地区に建設される特別養護老人ホームの建設費を補助するとともに、介護人材不足解消の一助として、介護現場で働きながら資格を取得するなど、スキルアップしながら、正規雇用をめざす人材の育成を支援します。
 高齢者への支援など、地域に貢献する協働の担い手を育成するため、豊富な知識や経験を持つシニア層を中心に、幅広い世代に市民活動への参加を促す(仮称)まつど市民大学の開校に向けて準備を進めます。

まちが再生し、賑わいのあるまちづくり

 続きまして、「まちが再生し、賑わいのあるまちづくり」をめざす施策について申し上げます。
 先ず、松戸駅周辺地域の活性化につきましては、基本構想に基づき、相模台を含めた新拠点ゾーンでは、「新たな松戸の顔となる便利で魅力ある拠点」として、事業化に向けた国有地の取得をめざすとともに、松戸中央公園は、その規模と立地特性を活用するために、再整備のための基本設計に着手します。
 松戸駅のバリアフリー化は、新年度下半期からの着工をめざし、JR東日本により設計の見直しが進められております。本市は、JRの工事に先立ち、新年度も継続して西口デッキのバリアフリー整備を進め、エレベーター、エスカレーターは、平成30年度に設置する予定です。春雨橋脇の無料駐輪場については、親水広場としての整備を進めます。また、歴史的景観拠点である坂川周辺地区の景観を改善し、その成果を松戸駅周辺に広めていきます。
 矢切地区のまちづくりにつきましては、多くの人々で賑わう「川のレクリエーション交流拠点」の実現に向けて、先行して整備する公園の実施設計に着手します。坂川親水広場は継続して整備し、平成29年度の早い時期での再開園をめざします。
 東松戸駅周辺の活性化につきましては、旧65街区のまちづくり用地に図書館や集会機能を持った施設など、市民ニーズに合った公共施設の整備を検討します。北千葉道路の整備を見据えて事業に着手した、都市計画道路3・3・7号横須賀紙敷線(河原塚・紙敷地先)は、詳細設計を実施します。
 新松戸地域につきましては、流山市木地区の区画整理進展などの環境変化をとらえ、地域の課題を整理するための調査を行い、将来のまちづくりにつながる基礎データを整備します。また、新松戸7丁目地区の道路安全対策として、歩行者への安全対策や交通の分散化が図れるように道路整備手法について、庁内で連携を図りながら検討します。新坂川沿いには、地域に賑わいを与えるような親水施設の設置を検討します。
 馬橋駅東口、六実駅、北小金駅、新松戸駅東側周辺につきましては、良好な市街地の形成に向けて、地域の方々とともに、まちづくりを推進します。
 まちを再生し、賑わいのあるまちづくりをめざすためには、ライフスタイルやライフステージにあった魅力的な住まいづくりを促進していくことが必要です。一方、管理不十分な空家が増加し、住民の生活環境に影響を及ぼすことが懸念されるため、空家等対策として、所有者等に適切な管理を促すとともに、地域活性化などの観点から有効活用に向けた、空家等対策計画を策定します。
 さらに、公共施設を再編整備していくことも必要です。基本計画の策定に向け、審議会で有識者より専門的知見を頂くほか、ワークショップやシンポジウムを開催し、公共施設の最適化に向けた取組みを進めます。

経済が活性化し、安心して働けるようになるまちづくり

 続きまして、「経済が活性化し、安心して働けるようになるまちづくり」をめざす施策について申し上げます。
 企業誘致の推進につきましては、引き続き産業振興アドバイザーを活用し、立地希望企業と不動産所有者とのマッチングを試みながら進め、雇用と税収の増加につなげます。
 また、企業の稼ぐ力を支援するため、販路開拓に取り組む中小企業について、国内に加え、国外で開催される展示会出展につきましても支援を拡大するとともに、経営の安定や発展のため、公的融資に対する利子補給を引き続き行います。
 次に、若年求職者の就労機会創出につきましては、「まつど合同企業説明会」の参加企業の拡大を図るとともに、「企業向け採用支援セミナー」を新規に実施することで、企業と求職者のマッチング率の向上をめざします。
 また、障害のある人に対しては、職場に適応できるよう、市内在住の障害者・企業・保護者に対し、ジョブコーチの支援により職場定着を図るとともに、障害のある人がワンストップで総合相談が受けられるよう、基幹相談支援センターの機能を充実します。
 離職率の高い若者や結婚・出産を機に離職した女性に対しては、引き続き、フューチャーセンター構築事業を実施し、創造的に「働く」ことについて学ぶ機会を提供します。
 さらに、クリエイターやアーティストが活躍できるような支援につきましては、地方創生の先駆的な取組みとして、国に認定されております、コンテンツ産業振興事業において、現在、事業者のニーズ調査等を実施しており、その結果に基づき、産業支援策を展開します。
 以上、総合戦略の基本目標に基づく主要な施策の概要を申し上げました。

安全・安心なまちづくりなどの施策について

 続きまして、安全・安心なまちづくりなどの施策についてご説明申し上げます。
 市民参加型街頭防犯ネットワークカメラ事業につきましては、町会、自治会、商店会、民間企業等の協力を得ながら、設置拡大してまいります。
 中央消防署の建て替えにつきましては、平成31年度の開署に向けて、実施設計に着手します。また、千葉北西部消防指令センターにつきましては、第2期整備に向けた構成市が10市と決定し、人口240万人規模に相応しい共同指令センター構築のための準備を進めます。
 橋りょう・トンネルなどの道路施設につきましては、定期点検を強化し適正な維持管理に努めます。
 浸水対策につきましては、六間川周辺地域において、栄町西二丁目排水機場の完成をめざすほか、同東側地区、常磐線北側の上矢切地域、また長津川流域の新作・松戸新田地域においても対策を進めます。
 排水路の整備につきましては、引き続き春木川、紙敷川、上富士川上流などの整備を進めます。
 古ヶ崎・栄町など、大雨時の下水道被害につきましては、解消に向けて、継続して千葉県及び関連市と連携を図りながら対策に取り組みます。
 下水道事業特別会計につきましては、経営状況や資産状況を的確に把握したうえで経営の健全化、並びに利用者に対する説明責任を明確にするため、平成30年度の地方公営企業法の適用に向けて準備を進めます。
 水道事業につきましては、今後も安全な水を安定的に供給するため、計画的に施設の耐震化と老朽管の布設替えを行うとともに、新年度中に水道事業新基本計画が策定できるよう、引き続き取組みを進めます。
 地球温暖化対策につきましては、これまでの計画を大きく見直し、新たに「松戸市地球温暖化対策実行計画」を策定しました。二酸化炭素排出量を確実に削減するため、家庭、事業所、運輸部門で先駆的な施策に取り組み、低炭素社会の実現をめざします。
 さらに、ごみの減量資源化等につきましては、ごみ処理基本計画に基づき「学校給食残渣や使用済小型家電のリサイクル」及び「靴・バッグ・ベルトのリユース」など関係機関と連携し、資源循環型社会の構築をめざします。
 また、ごみ処理施設につきましては、将来の新しい処理体制を構築するため、六和クリーンセンターの解体に向けた準備を進めます。
 人と生きものが共生するまちをめざして、不妊・去勢手術費用の助成を強化するなど、地域猫活動を支援してまいります。
 消費者行政につきましては、市民の大切な財産を守るため、消費生活相談事業の強化と消費者教育の充実に取り組みます。
 農業施策につきましては、都市農業のさらなる推進を図り、農業経営基盤を強化するため、農作業の効率化に向けた農業機器等の導入を支援します。
 地域代表者制度につきましては、行政依頼業務の依頼先を個人である市政協力委員から、町会・自治会等の団体に移行します。町会・自治会等と直接的な関係を構築することにより、市とのパートナーシップの強化や地域活性化につながることが期待されます。
 また、町会・自治会等への支援につきましては、総会や役員会などの会場として、貸し会議室を使用する場合に、使用料の一部を補助する制度を新設します。これにより、町会・自治会等の活動場所に対する補助金が、これまでの制度とあわせて3種類となり、各団体の状況に応じた体制が整います。
 平和事業につきましては、戦争を知らない世代が多数を占めている中、次世代に平和の大切さや戦争の悲惨さを着実に継承していくとともに、世界平和にも目を向けた様々な事業を展開し、市民の意識高揚を図ります。
 寄附事業につきましては、本市を応援してくださる方々をさらに増やすため、歳入の確保等も視野に入れ、ふるさと納税制度を積極的に活用し、寄附者へ魅力的な特産品を贈呈することを準備します。
 市民や子どもたちの様々な夢や希望を育み、応援していくため、関連した事業を、「夢窓口」事業として位置づけ、一体的に推進していきます。
 地域間連携及び都市制度につきましては、広域行政の一環として引き続き検討してまいります。
 松戸市総合計画を推進するため、平成29年度をスタートとする第6次実施計画を策定します。後期基本計画の最終年次の計画となることから、総合戦略で掲げた目標を踏まえ、後期基本計画の「めざしたい未来像」の実現に向けた優先的な取組みを位置付けてまいります。
 以上、新年度の主要な施策について、その概要を申し上げました。

結び

 本市を取り巻く環境は、その財政状況をみても依然厳しいものがあります。このような時こそ、これから20年、30年先の本市を見据えて、ここで立ち止まることなく、今やるべきことを、しっかりと実行していくことが大切であると考えております。
 大相撲初場所では、本市に部屋を構える佐渡ヶ嶽部屋の琴奨菊関が初優勝し、その快挙に対して、市をあげて祝福いたしました。4年後には2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。世界的なスポーツと文化の祭典は、市民に多くの感動を与えてくれることと思います。私はこの大会を、文化や教育、スポーツの発展と、新たな文化を創造するチャンスとして最大限に活用していきます。
 また、松戸には、都心に近い立地的優位性があり、そのうえ自然や歴史、文化などの誇れる魅力がたくさんあります。急速に進行する人口減少・少子高齢化への対応という大きな課題を背負っていますが、松戸の魅力を活かしつつ、市の価値を高めるまちづくりへの投資を行い、若者や子育て世代を呼び込み、まちを活性化させていきたいと考えております。
 松戸市役所には「すぐやる精神」という理念があります。これは、「すぐやらなければならないもので、すぐやり得るものは、すぐにやります」という先人たちから伝えられる精神であり、私もこの想いを継承したうえで、市民の皆さまとともに「選ばれる松戸」をめざしてまいります。

 最後に、市民の皆さまをはじめ、議員各位のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、新年度の施政方針とさせていただきます。

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平成28年度教育方針と主要施策

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千葉県松戸市根本387番地の5 新館5階
電話番号:047-366-7072 FAX:047-366-1204

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