市民の皆様へ みんながつながるまちに
更新日:2020年5月7日
松戸市教育長 伊藤純一
令和も2年度になり、平成から令和へと慌ただしく動いた昨年度より落ち着いた年度初めを期待していましたところ、新型コロナウィルス感染症対策で慌ただしいどころか毎日の対応に懸命に動く日々となっています。特に、時々刻々と移り変わる感染状況により、その対応を変えざるを得ない実態があります。市民の皆様のご理解とご協力をお願いします。
皆様方はさぞかし不安を抱えての毎日になっていると思いますが、こういうときこそ地域共生の意識を強く持ち、感染の拡大を防ぐために、あるいは感染された方々が治癒されるまで温かく見守るために、普段からの地域コミュニティの大切さや温かな人と人とのつながりを改めてお願いするところです。
さて、年度末・初めにあたり、今年も多くの人事異動がありました。一人一人に辞令を交付したところですが、思いがけず多くのエネルギーを使っている自分に気付きました。その時間は、その一人一人の表情や姿を確認しながらのものになります。少しでも、その人となりを得ようと意識している自分がいました。おそらく、そのことにエネルギーを使っていたのだと思います。
他人をどのように理解しようかという能力、これはおそらく、ヒトであれば誰しもが持っている能力で、ヒトの長い歴史で築かれた遺伝子の力によるものと思います。同じヒト科のボノボやゴリラも他者に対しての優れた能力を持っていますが、文化人類学者の皆さんの言によりますと、ヒトは他を意識し、他を考える力を持っているからこそ、仲間を作り、社会を築くことができたということです。
しかし昨今、折角のその力、ヒトがヒトを意識し、つながる力が危ぶまれていると感じます。そのことは本市幼児・家庭教育の顧問をしていただいている川島隆太教授の講演でも示唆されたスマホやタブレットの脳に対する悪影響などの例でも言及されています。
便利さを追求してきた今の社会が、その便利さと引き換えにヒト本来の持つ能力の弱体化を招いています。他者を理解したり、考えや価値観を共有したりする能力が弱くなっています。他者を思いやったり、利他の感覚を持ったりする力が弱くなっています。ヒトがヒトとつながる力を松戸市民の皆さんと改めて強く意識して生活できる年度になれたら、などと思っています。
さて、4月6日から市立小中学校は3月に引き続き休校措置に入りました。3月の突然の臨時休校という初めての状況下で皆さんからの様々な反応、対応を思い起こしますと、現代の学校の位置づけ、役割が浮き彫りにされたような気がします。パラボラアンテナのように実に幅広く、多様な視点からの役割があったことを認めざるを得ません。特に福祉的な役割の多さを改めて認識したところです。
そして、その中には、もちろんですが、児童生徒が、学校生活での毎日の集団生活を通して、ヒトとヒトがつながる力を身につけるという役割もあるのです。生涯学習の場でも、スポーツ・文化様々な場面を通してヒトとヒトがつながる環境があります。社会の基底を創る生涯学習、学校教育の機能がこれまでのように動くことができるためにも、新型コロナウィルス感染症対策にみんなで取り組むことが必要です。
予想外の展開でスタートした令和2年度ですが、本年度の「教育施策」については先日の広報まつど3月15日号にもその骨子を掲載しましたが、このホームページにも関連記事がありますので、ご覧いただければと思います。
いよいよ、緊急事態宣言が発出されました。本年度は新感染症対策が行政の大きな柱とならざるを得ない中での教育行政です。皆様と一緒に新型コロナウィルスに立ち向かいながら、生涯学習、学校教育の施策展開を進めていきます。宜しくお願いします。