適切なお酒の飲み方
更新日:2022年11月30日
飲酒量を見直しましょう
楽しい側面もある飲酒ですが、お酒を大量に飲むことは、がんや肝障害、脳萎縮(認知症)の原因になると言われています。また、アルコール依存症に陥ると自分だけでなく、身近な人にも負担をかけます。心身ともに健康を保ち、上手にお酒と付き合っていくために、飲酒量を見直しましょう。
知っていますか?お酒の○×クイズ
(1)お酒は飲めば飲むほど強くなる?
(2)寝る前にお酒を飲むと深く眠れて疲れが取れる?
(3)親と一緒なら未成年でもお酒を飲んでもよい?
(4)子どもも大人もお酒の影響は同じ?
(5)女性の体は男性よりお酒に弱い?
(6)妊娠中の女性が飲酒をすると、お腹の赤ちゃんの体や中枢神経に異常が出る?
(7)「節度ある適度な飲酒」は1日当たりビール(5パーセント)では中瓶1本程度?
アルコールの知識
アルコールは胃や腸から吸収されると血液にのって全身を巡ります。脳に達して脳細胞を麻痺させることで「酔い」を引き起こし、判断力の低下や反射機能を低下させます。
お酒に強い・弱い
お酒の強い弱いはアルコールの分解速度が影響します。一般的にお酒が強いといわれる人はアルコール分解が速く、お酒に弱いといわれる人は遅いと考えられます。
アルコール分解が遅い人は、飲酒後に顔が赤くなる・動悸・頭痛などの症状(フラッシング反応)が現れます。また、フラッシング反応がない人でも脳のアルコールに対する感受性によってお酒に弱い人がいます。
習慣的な飲酒によってお酒に強くなったように感じることがあります。アルコール分解速度は繰り返し飲酒をしてもあまり変化はありません。原因は飲酒により脳の神経細胞が機能変化し、アルコールの感受性が下がることにあります。アルコールに対する感受性が下がると同量のお酒では「酔い」を感じられず、飲酒量の増加に繋がりアルコール依存症のリスクを高めます。
いっぱい飲んでもお酒に強くなるわけじゃないのです!
お酒と睡眠の関係
アルコールは寝付くまでの時間を短くするため、寝酒として使う人がいます。しかし、就寝前に飲んだアルコールは少量であっても睡眠の後半部分を障害するため、寝つきは良いが夜中に目が覚めてその後なかなか眠れないということに繋がります。その結果、睡眠時間が短くなり疲れが取れなくなってしまいます。
クイズの答え(1)×(2)×
未成年の飲酒
未成年の飲酒は、未成年者飲酒禁止法によって禁止されています。
未成年がお酒を飲んではいけない理由は次のようなことです。
- 脳の神経細胞を破壊してしまう
アルコールを大量に飲むと脳が縮んでしまいます(脳の萎縮)。脳が未完成である未成年では特に起こりやすいため、学習能力や集中力、記憶力、判断力、意欲の低下につながり、学校生活に影響してしまいます。
- 性の成長を妨げてしまう
アルコールは性ホルモンの分泌を障害します。そのため第二次性徴を遅らせ、男子は勃起障害、女子は月経不順などになる可能性があります。
- アルコールを分解する働きが未発達
未成年はアルコールを分解する酵素を分泌する肝臓が未成熟です。そのため、アルコールを分解する働きが不十分になり、分解されなかったアルコールによって様々な臓器に障害が起きたり、血中のアルコール濃度が高くなりやすく急性アルコール中毒によって命を落とす危険があります。
- アルコール依存症のリスクが高くなる
未成年のうちから飲酒を始めると飲酒量のコントロールが難しいことから、短期間でのアルコール依存症につながります。また、若いうちにアルコール依存症になると治療のための断酒の成功が難しくなるというデータがあります。
クイズの答え(3)×(4)×
女性と飲酒
最近では女性の飲酒も一般的になりました。1954年の調査では女性の飲酒者は13%程度でしたが、2008年の調査で20歳代前半では女性の飲酒者が男性を上回る結果となりました。
女性の飲酒には男性と比較して「血中アルコール濃度が高くなりやすい」「乳がんや胎児性アルコール症候群など女性特有の疾患のリスクを高める」「短期間の飲酒で肝硬変やアルコール依存症になりやすい」という特徴があります。
女性の飲酒による影響
血中アルコール濃度はアルコールの代謝能力や体内の水分量に影響します。女性は男性よりも体内の水分量が少ないため、同じ体重、同じ飲酒量であっても、男性よりも血中アルコール濃度が高くなります。また、女性は男性よりも肝臓の大きさが小さいため、アルコールの代謝能力も平均すると男性の4分の3程度しかありません。これらのことから女性は、飲酒によって急性アルコール中毒のリスクが高くなり、短期間の飲酒であってもアルコール依存症につながりやすいです。
妊娠中・授乳中は禁酒を
アルコールは胎盤を通過しやすいため、妊娠中に飲酒をするとアルコールが血液にのってお腹の赤ちゃんに届き、体や中枢神経に異常を起こす可能性が高くなります(胎児性アルコール症候群)。少量の飲酒であっても、妊娠のどの時期であっても可能性があり、治療法もないために妊娠中の飲酒は完全にやめましょう。
また、産後もアルコールは母乳を通じて赤ちゃんに移行し、成長を抑制してしまいます。母乳の分泌にも影響するため、授乳中の飲酒もやめましょう。
クイズの答え(5)○(6)○
節度ある飲酒を楽しみましょう
お酒は少量であれば気持ちをリラックスさせたり、虚血性心疾患の予防にもなったりする効果があります。厚生労働省は「健康日本21」の中で、飲酒量と総死亡のリスクの関係からリスクが低くなる飲酒量を「節度ある適度な飲酒量」と定義しています。
適正飲酒量とは
1日に平均純アルコール20グラム程度
- ビールなら500ミリリットル
- 日本酒なら1合
- 7パーセントの酎ハイなら350ミリリットル
- 25パーセントの焼酎なら100ミリリットル
- ワインなら100ミリリットル
- ウイスキーなら60ミリリットル
※女性、お酒に弱い体質の人(フラッシング反応が現れる人)、高齢者はさらに量を控えましょう。
※アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要です
※飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではありません
<厚生労働省「健康日本21」による飲酒量の指標>
生活習慣病の危険が高まる飲酒量とは
男性の場合1日に平均純アルコール40グラム以上、女性の場合1日に20グラム以上
<厚生労働省「健康日本21」による飲酒量の指標>
多量飲酒量とは
1日に平均純アルコール60グラムを超える飲酒
<厚生労働省「健康日本21」による飲酒量の指標>
クイズの答え(7)○
適正飲酒の10か条
- 談笑し 楽しく飲むのが基本です
- 食べながら 適量範囲でゆっくりと
- 強い酒 薄めて飲むのがオススメです
- つくろうよ 週に二日は休肝日
- やめようよ きりなく長い飲み続け
- 許さない 他人(ひと)への無理強い・イッキ飲み
- アルコール 薬と一緒は危険です
- 飲まないで 妊娠中と授乳期は
- 飲酒後の 運動・入浴 要注意
- 肝臓等 定期検査を忘れずに
出典(社)アルコール健康医学協会
おいしいお酒を楽しく飲んで健康に過ごしましょう!
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