坂川河川網検討会
更新日:2019年12月23日
坂川河川網検討会とは
坂川の水質は清流ルネッサンスの取り組みにより大きく改善されました。近年では、江戸川の水質と同レベルまで改善している地点もあります。
一方で、古ヶ崎浄化施設においては、取水ラバー堰(ぜき)、取水ポンプ等の不具合の発生が見られるようになっています。その他の施設も老朽化しており、各施設の将来的な運用方法を検討する必要があります。
このため、国や千葉県、流山市、松戸市の坂川河川網内の各施設の現状や環境整備計画など坂川河川網全体を勘案した、河川網整備の方向性や役割分担の考え方を共有した上で、将来の施設運用や維持管理の役割分担等の構想を検討していきます。
坂川河川網とは、坂川とその支川などが複雑な網目のような流れをしているので、このように呼んでいます。
坂川の現状
坂川河川網の流れ
公共下水道の整備が進んでいなかったかつての坂川河川網の水は、家庭からの排水を主な水源として、その水は古ヶ崎、樋野口及び赤圦の各樋管より直接江戸川に流れていました。
そのため、坂川河川網は、江戸川の水位変化の影響を受け、流れの向きが変わることもありましたが、清流ルネサンスの取り組みにより大きく変化しました。
市内の汚れた水を浄水場の下流から江戸川に流すために、古ヶ崎、樋野口、赤圦の各樋管と江戸川とを堰で分離し、坂川河川網の水全てを古ヶ崎に集めました。集めた水は、ポンプにより古ヶ崎浄化施設にくみ上げ、そこで浄化された水は、流水保全水路(ふれあい松戸川)を流れ、小山の揚水ポンプで坂川にくみ上げ、下矢切の柳原から江戸川に流すようにしました。
また、小山でくみ上げた水の一部は、松戸方向への還元水(もともと流れてきた場所へ再び戻す水)として毎秒0.2立方メートルを確保しました。
これにより、坂川河川網の水は、江戸川の水位に影響されることがなくなり、人工的な流れが創られました。特に、坂川再生区間(レンガ橋から春雨橋の区間)では、水深を浅く保つことで河底が見えるようになり、清流感を感じることが出来るまで綺麗な河川に生まれ変わりました。
現状の問題点
古ヶ崎浄化施設取水ラバー堰故障の影響
江戸川と坂川を分離していたラバー堰が劣化断裂により機能しなくなったことで、江戸川の水位上昇時には、坂川河川網内に水が逆流し、河川の滞流による水質の悪化とともに、ゴミの滞留等、景観悪化が問題となっています。
古ヶ崎取水ポンプ施設故障の影響
24時間動いていたポンプの運転時間が平日の9時から17時までとなったことため、常時行われていた坂川河川網の水循環が確保されなくなり、水質改善の妨げとなっています。
赤圦ラバー堰の故障の影響
ふれあい松戸川と江戸川を隔離するラバー堰が、令和元年5月10日に破損し水没したことにより、ふれあい松戸川に常時江戸川の水が供給される状態となるため、水位の制御が困難となり、江戸川の水位が低すぎる場合には小山の揚水ポンプの運転が出来なくなります。
平成29年3月26日 古ヶ崎ラバー堰 破損状況
令和元年5月10日 赤圦ラバー堰 水没状況
坂川、新坂川の流量の減少
江戸川への排水の制御ができなくなり、滞流による流速の低下が起こり、藻等の沈水植物の繁茂やゴミの滞留等の景観悪化が問題となっています。
坂川河川網内への導水量の減少
平成23年以前の導水量は、毎秒1.43立方メートル(坂川(北千葉導水路)から新坂川へ毎秒0.5立方メートル、坂川へ毎秒0.5立方メートル、導水保全施設から新坂川へ毎秒0.33立方メートル、神明堀導水として毎秒0.1立方メートルを六間川へ)でしたが、現在では、毎秒0.58立方メートル(坂川(北千葉導水路)から新坂川へ毎秒0.083立方メートル、坂川へ毎秒0.5立方メートル)と減少しています。
河川 | 平成23年以前 | 令和元年現在 |
---|---|---|
坂川(北千葉導水路)から新坂川 |
毎秒0.5立方メートル |
毎秒0.083立方メートル |
坂川 |
毎秒0.5立方メートル |
毎秒0.5立方メートル |
導水保全施設から新坂川 |
毎秒0.33立方メートル |
なし |
六間川(神明堀導水) |
毎秒0.1立方メートル |
なし |
合計 |
毎秒1.43立方メートル |
毎秒0.58立方メートル |
平成30年8月 新坂川の藻の繁茂
平成30年8月 坂川の藻の繁茂
坂川河川網検討会の開催
構成メンバー 国土交通省 江戸川河川事務所、千葉県 東葛飾土木事務所、流山市、松戸市
第1回開催 平成30年11月26日
現地や施設の状況に対し、検討会メンバーが共通の認識を持つため、清流ルネッサンスの取り組みにより整備された施設(古ヶ崎浄化施設、赤圦、小山)や坂川再生区間の一部(春雨橋から松戸神社付近)の現地視察を実施いたしました。
視察後の検討会では、国より流水保全水路(ふれあい松戸川)と古ヶ崎浄化施設の運用経緯についての説明及び坂川の水質状況の説明がありました。
現在の運用の課題
- ラバー堰の破損や古ヶ崎取水ポンプ施設の故障により、坂川還元水の供給が不安定となっています。
- 多くの松戸市民の方々が、清流ルネッサンス実施時に比べ坂川の水の停滞、親水性の低下を指摘しています。
対応の方針
- 現在動いている河川施設の運用でも、坂川再生区間のBOD(一般的な水質指標の一つです)に問題となるような変化は認められません。
- 壊れた施設の修繕・更新に多大な費用が発生します。
現行の施設稼働を変えずに、運用方法を工夫しながら、坂川還元水の安定供給を図る方針です。
第2回開催 平成31年2月21日
現在動いている河川施設の運用方法を変え、坂川再生区間の還元水量の確保と流れを維持することを目的に、坂川河川網の縦断的・時間的な水の流れを解析いたしました。この解析結果を検証するため、現地における試行運用を予定しています。
モニタリング内容 |
役割分担 |
---|---|
流速・流量(現地観測) | 国・県・市 |
水位(機器観測) | 国・県 |
水質(定期調査) | 国・市 |
水辺環境の状況(ゴミ等)・市民の印象 | 県・市 |
結果取りまとめ | 国・県・市 |
第3回開催 令和元年5月24日
令和元年5月10日に発生した赤圦ラバー堰の破損により、第2回検討会で計画した試行運用が実施できなくなりました。このため、第3回検討会では、試行運用の計画見直しを行いました。
施設 | 試行1 | 試行2 | 試行3 | 試行4 |
---|---|---|---|---|
古ヶ崎浄化施設 | 日中運転 | 日中運転 | 日中運転 | 完全停止 |
赤圦ラバー堰(江戸川側) | 破損 |
破損 |
破損 |
破損 |
赤圦ラバー堰(坂川側) | 起立 | 起立 | 起立 | 倒伏 |
小山揚水ポンプ | 稼働 | 稼働 | 稼働 | 稼働 |
小山可動堰 | 起立 |
中間起立 | 完全転倒 | 中間起立 |
施設 | 試行(1) |
試行(2) |
試行(3) |
試行(4) |
---|---|---|---|---|
古ヶ崎浄化施設 |
停止 | 停止 | 停止 | 稼働 |
赤圦ラバー堰 |
破損 |
破損 |
破損 |
破損(倒伏) |
赤圦ラバー堰 |
起立 | 起立 | 倒伏 | 倒伏 |
小山揚水ポンプ |
日中1台 | 日中1台 |
日中1台 |
日中2台 |
小山可動堰 |
起立 |
完全転倒 | 完全転倒 | 完全転倒 |
施設 | 試行(5) |
試行(6) |
試行(7) |
---|---|---|---|
古ヶ崎浄化施設 |
停止 | 停止 | 日中運転 |
赤圦ラバー堰(江戸川側) |
破損 |
破損 |
破損 |
赤圦ラバー堰(坂川側) |
倒伏 | 倒伏 | 起立 |
小山揚水ポンプ |
稼働 | 稼働 |
稼働 |
小山可動堰 |
起立 |
完全転倒 | 完全転倒 |
地域協働で坂川をきれいにする取り組み
河川清掃
坂川河川網の清掃活動を地域の方々と協力して実施しています。秋のクリーンデーでは矢切地区の方々にご協力いただき、相当量のゴミを回収することができました。また、定期的にボランティア団体が中心となって清掃活動を実施しています。
令和元年6月1日 坂川 春雨橋付近
令和元年8月3日 坂川 松戸神社付近
令和元年10月27日 坂川 上矢切水門付近
令和元年10月27日 坂川 矢切橋