貸借対照表の作成方法
更新日:2013年11月25日
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貸借対照表の作成方法 1 貸借対照表のひな型
資産の部 | 負債の部 | ||
---|---|---|---|
流動資産 | 流動負債 | ||
現金および預金 | xxx | 1年内償還予定地方債 | xxx |
財政調整基金 | xxx | 未払金 | xxx |
収入未済額 | xxx | 還付未済額 | xxx |
貸倒引当金 | △ xxx | 流動負債合計 | xxx |
流動資産合計 | |||
有形固定資産 | 固定負債 | ||
物品 | 地方債 | xxx | |
器具備品 | xxx | 長期未払金 | xxx |
車両運搬具等 | xxx | 退職給与引当金 | xxx |
文化財および美術工芸品 | xxx | 固定負債合計 | xxx |
物品合計 | xxx | xxx | |
負債合計 | xxx | ||
普通財産 | |||
建物 | xxx | 正味財産合計 | xxx |
土地 | xxx | ||
普通財産合計 | xxx | ||
行政財産 | |||
建物 | xxx | ||
土地 | xxx | ||
行政財産合計 | xxx | ||
建設仮勘定 | xxx | ||
有形固定資産合計 | xxx | ||
無形固定資産 | |||
地上権 | xxx | ||
無形固定資産合計 | xxx | ||
投資その他の資産 | |||
投資および出資金 | xxx | ||
長期貸付金 | xxx | ||
基金 | |||
特定目的基金 | xxx | ||
定額運用基金 | xxx | ||
土地開発基金 | xxx | ||
基金合計 | xxx | ||
投資その他の資産合計 | xxx | ||
資産合計 | xxx | 負債/正味財産合計 | xxx |
貸借対照表の作成方法 2 流動資産
流動資産には、現金および預金、貸借対照表日より1年以内に回収期限が到来する債権等を計上する。
勘定名 | 資料名 | 項目 |
---|---|---|
現金および預金 | 年度決算に関する説明書における一般会計実質収支に関する調書 | 実質収支調書から計算して作成 |
財政調整基金 | 年度地方財政状況調査表における基金の状況 | 財政調整基金年度残高 |
収入未済額 | 年度決算に関する説明書 | 収入未済額計 |
貸倒引当金 | 3.2.4参照。計算根拠の収入未済額から国庫分等貸倒の危険の無い物を除いて計算する。(6年度分の決算に関する説明書、不納欠損額、収入未済額、収入未済額のうち国庫分) |
2.1. 現金および預金
歳計現金(形式収支)の金額を計上する。
2.2. 財政調整基金
現金等の運用形態による区分を行わず財政調整基金として計上する。財政調整基金は、財源不足時に比較的容易に取り崩すことが可能なことから、流動資産として計上する。
2.3. 収入未済額
税収や諸収入、分担金負担金等の収入未済額を計上する。
2.4. 貸倒引当金
収入未済額の過去5年分(当期前5年)までの平均残高および、年度を含む過去5年間(当期を含めて5年)の歳入不納欠損額の平均残高より、収入未済額の平均貸倒率を見積もり、この平均貸倒率を利用し年度末の収入未済額に対する貸倒引当金額を見積計上する。この時、国、県に対する収入未済金は貸倒リスクがないと考えられるため、貸倒率の計算や対象となる収入未済金から除外する。
貸倒引当金計算例(平成11年度の場合)
(1) 収入未済額残高
(単位:千円)
(2) 不能欠損額残高
(単位:千円)
(3) 貸倒引当金の計算
平均貸倒率 | C=B/A | 5.79% |
---|---|---|
平成11年度収入未済額残高 | D | 9,302,243千円 |
平成11年度貸倒引当金残高 | E=D×C | 538,600千円 |
貸借対照表の作成方法 3 有形固定資産
有形固定資産には、1年以上に渡って保有・利用する資産のうち、建物、土地および物品等有形のものを計上する。
3.1. 有形固定資産の区分
(1) 物品
物品台帳および車両台帳に計上されているものを計上する。現物と台帳との突合せは平成10年度~平成15年度では実施しなかったが、今後は実施することが望ましい。
(2) 普通財産
公有財産台帳で普通財産に分類されるもののうち、有形固定資産として計上されるべき建物、および土地について計上する。ここでいう普通財産は、公有財産のうち下記の行政財産以外のものを指す。なお、現物と台帳との突合せは平成10、11年度の試作では一部擬似的に実施したが、今後は完全に実施することが望ましい。
(3) 行政財産
公有財産台帳で行政財産に分類されるもののうち、有形固定資産として計上されるべき建物、および土地について計上する。ここでいう行政財産は、市が公用または公共用に供しているもの、または供することと決定したものを指す。なお、現物と台帳との突合せは平成10、11年度の試作では一部擬似的に実施したが、今後は完全に実施することが望ましい。
(4) 建設仮勘定
当年度に有形固定資産取得のために支出が行われているものの、貸借対照表日現在に物件の完成・引き渡しがなされていないものについては、その支出額を貸借対照表に計上する。具体的には繰越明許費や継続費に算定された事業のうち、当年度以前に支払われた額の合計を計上する。
(5) 道路、橋梁等
道路、橋梁等のインフラ資産については、有用なデータの入手が困難であるため、貸借対照表に計上しない。但し、注記情報として附属明細書上で延長、面積等の数量情報を記載する。
3.2. 取得価額の入手方法
原則として台帳から入手する。台帳不備の場合には可能な資料から作成する。
(1) 器具備品および車両運搬具等
器具備品については備品台帳より、車両運搬具等については車両台帳より取得価額20万円以上のものを有形固定資産として計上する。
なお、個々の備品等の耐用年数の判断については備品名鑑で分類している最小単位である小分類ごとに大蔵省令に定められた耐用年数表を参考に5、10、15年の3つのいずれかとする。
また、取得価額20万円以上かどうかの判断については、個々の取得価額が20万円に満たなくとも全体として20万円以上になるもの(百科事典等)については計上する。
(2) 普通財産と行政財産の内訳
公有財産台帳に計上されている資産は土地、建物のみであり、設備、工作物等については建物に含まれている施設もあるため、平成10、11年度の試作においては区別しないこととした。今後は棚卸し等により区別が可能な場合は建物と設備、工作物を分けることが望ましい。
- 建物
平成10、11年度の試作では保全設備課の管理する建物台帳と管財課の管理する公有財産台帳をもとに取得価額や建物の完成年月等を各課に照会することで擬似的に棚卸を行い、その結果について計上した。なお、各管理担当課においても取得価額が不明であった件については各管財担当課が加入、更新している火災保険の再取得価額を元に計上した。今後は個々の建物について精緻な棚卸しを行い、取得価額を計上することが望ましい。
- 土地
平成10年度~平成13年度までの試作では、取得原価が判明するものについては取得原価で評価し、それ以外のものについては路線価を基に計上していた。平成14年度以降は、土地の評価を取得原価ではなく固定資産税評価額によるものとし、評価額が判明しないものについては路線価を基に計上した。今後は個々の土地について精緻な棚卸しを行い、取得価額を計上することが望ましい。
(3) 建設仮勘定
有形固定資産に計上される予定のもので、未完成、未引き渡しのものに対する既支出額を計上する。平成11年度の試作においては繰越明許費の11年度までの支出額と継続費の11年度までの支出額の合計を計上した。
3.3. 減価償却
(1) 減価償却の方法
資産の見積耐用年数にわたって、見積残存価額をゼロとする定額法により減価償却の手続きを実施し、取得価額よりこの減価償却累計額を控除した価額により貸借対照表に計上する。償却済みの資産については備忘価額1円として計上する。
ここでの見積耐用年数は、民間企業において一般的に利用している大蔵省令に基づく法人税法の規定及び行政財産の内容を検討し、以下のように種類及び構造別に設定している。
構造名 | 略称 | 耐用年数 |
---|---|---|
鉄筋コンクリート | RC | 50年 |
鉄骨鉄筋コンクリート | SRC | 50年 |
鉄骨 | S | 35年 |
プレキャスト(プレハブ) | PC | 10年 |
木造 | W | 25年 |
コンクリートブロック | CB | 40年 |
構造名 | 略称 | 耐用年数 |
---|---|---|
(例)昇降機設備:エスカレーター | 15年 |
(その他)今後分離して取得価額を計上した場合、法人税法耐用年数表等に基づき設定。
減価償却の開始年度は引渡完了年度の翌年度とする。これは物品については金額の大きいものが期末付近に購入されること、建物については予算との関係上期末に購入されることが多いためである。
また台帳上で区分が困難な場合は、設備及び工事については建物に含めて計上する。
(2) 減価償却計算(イメージ)
(A) | (B) | (D) | (E)=(C)*(D) | (F) | (C)=(A)/(B) | (G)=(C)*(F)=(C)+(E) | (A)-(G) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
取得原価 | 耐用年数 | 期首経過年数 | 期首減価償却累計額 | 期末経過年数 | 今期の | 期末減価償却累計額 | 貸借対照表価額 | |
減価償却費 | ||||||||
当期取得分 | 40,000 | 50 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 40,000 |
前期取得分 | 20,000 | 50 | 0 | 0 | 1 | 400 | 400 | 19,600 |
過年度取得分 | 15,000 | 15 | 10 | 10,000 | 11 | 1,000 | 11,000 | 4,000 |
1,400 | 63,600 |
貸借対照表 | 有形固定資産 | 修正前 | 修正後 |
---|---|---|---|
0 | 63,600 | ||
コスト計算表 | 工事請負費等 | 40,000 | 0 |
減価償却費 | 0 | 1,400 |
貸借対照表の作成方法 4 無形固定資産
無形固定資産には、1年以上に渡って保有・利用する資産のうち、法律で保護された権利等の無形のものを計上する。
4.1. 地上権
公有財産台帳に記載されている地上権について、取得価額で計上する。
貸借対照表の作成方法 5 投資その他の資産
投資その他の資産には、1年以上に渡って保有・利用する資産のうち、投資・出資および貸付金等を計上する。
勘定名 | 資料名 | 項目 |
---|---|---|
投資および出資金 | 年度地方財政状況調査表における貸付金、投資および出資金の状況 | 年度残高 |
長期貸付金 | 年度地方財政状況調査表における貸付金、投資および出資金の状況 | 年度残高 |
基金 | 年度地方財政状況調査表における基金の状況 | |
特定目的基金 | 市債管理基金およびその他特定目的基金の年度残高 | |
定額運用基金 | 年度残高 | |
土地開発基金 | 年度残高 |
5.1. 投資および出資金
公有財産台帳に記載されている外郭団体等への出資金および投資有価証券について、取得金額より計上する。
5.2. 長期貸付金
市が貸付けている金額を計上する。
5.3. 基金
基金については、現金や土地などの運用形態による区分を行わず、各基金別に貸借対照表に計上する。特定目的基金は財産を維持し、資金を積み立てるために設置されている基金を、定額運用基金は定額の資金を運用するために設置されている基金を指す。
貸借対照表の作成方法 6 流動負債
流動負債には、貸借対照表日より1年以内に支払期限が到来する債務を計上する。
勘定名 | 資料名 | 項目 |
---|---|---|
1年内償還予定地方債 | 年度地方財政状況調査表における地方債年度別償還状況 | 次年度償還予定額元金 |
未払金 | 年度債務負担行為状況 繰越明許費明細 継続費明細 |
次年度以降の支出予定額のうち、市の確定債務となっているもの |
還付未済額 | 年度決算に関する説明書 | 歳入備考欄の還付未済額合計 |
6.1. 1年内償還予定地方債
地方債の年度末残高のうち、1年以内に予定されている元金償還額を計上する。
6.2. 未払金
未払金とは民間企業においては営業とは直接関係のない物品の購入に関する債務や諸経費の支払に関する債務を計上する勘定を指す。松戸市では債務負担行為、繰越明許費、継続費のうち、既に物件の引渡、サービスの実施等がなされており支払債務が確定しているものについて負債として計上する。未払金はこれらのうち、貸借対照表日より1年以内に支払いがなされる予定のものである。
6.3. 還付未済額
税収等の還付未済額について計上する。
貸借対照表の作成方法 7 固定負債
固定負債には、貸借対照表日より1年を超えて支払期限が到来する債務を計上する。
勘定名 | 資料名 | 項目 |
---|---|---|
地方債 | 年度地方財政状況調査表 地方債年度別償還状況 |
(差引現在高)-1年内償還予定地方債残高 |
長期未払金 | 未払金の欄参照 | 未払金の欄参照 |
退職給与引当金 | 総務企画本部人事課作成退職金要支給額 | 自己都合要支給額 |
7.1. 地方債
地方債のうち、償還期限が1年超のものを固定負債として計上する。
7.2. 長期未払金
前述の未払金の定義のうち、貸借対照表日より1年超の期日に支払がなされる予定のものを固定負債として計上する。
7.3. 退職給与引当金
貸借対照表日現在における自己都合要支給額の100%を退職給与引当金として計上する。自己都合要支給額とは市職員全員が当期末に自己都合で退職したと仮定した、その支給金額の合計である。なお、計算に当たっては職員個々人のデータをもとに人事課が算出する。
貸借対照表の作成方法 8 正味財産
資産と負債の差額を正味財産とする。