令和6年度 自動運転実証調査結果について
更新日:2025年3月28日
地域公共交通計画の策定に向けた先行調査研究として自動運転車両の導入可能性を検証するため、国の補助金を活用し、交通量が多い公道で特別装置自動運転車両による実証調査を行いました。
テープカット
概要
事業の背景と目的
少子高齢化に伴う人口減少が進む中、公共交通を維持しながら、SDGs、カーボン・ニュートラル、DX・GXなど社会課題に対応し、地域コミュニティを維持していくことが必要となっています。
本市は比較的交通網が充実しているものの、公共交通のみでは移動が充足されていない地域が存在していることから、自動運転技術を活用して解決していくことを模索しています。
そのために、自動運転技術の検証や社会受容性の向上を目的とした実証調査を開始し、2027年度までに自動運転バスの社会実装をすることを目標に本事業に着手しました。
調査方法
BOLDLY株式会社に業務委託(公募型プロポーザルにより選定)
実証調査期間
令和6年10月14日(月曜・祝日)から11月4日(月曜・振替休日)まで
※公道での運行(試乗)は令和6年10月21日(月曜)から11月1日(金曜)までの平日のみ。
使用車両
エストニア共和国 Auve Tech(オーブテック)社製
「MiCa(ミカ)」1台
定員
8名(オペレーター、CAを含む)
速度
時速20キロメートル未満
特別装置自動車
サイズ
全長:4.2メートル 全幅:1.85メートル 全高:2.5メートル
主な運行場所
松戸駅東口と市役所周辺の各公共施設へアクセスするルートで、歩行者と車両が混在する市街地で運行。
利用方法
無料・事前予約不要で、市役所正面玄関を起終点とする各乗降ゾーンで乗降可能としました。
※満員のためご乗車いただけないこともありました。
※道路運送法上、許可・登録不要の輸送として取り組みました。
自動運転レベル
レベル2(自動走行を設定し、必要に応じて手動に切り換え)
レベル | 自動運転レベルの概要 | 運転操作※の主体 |
---|---|---|
レベル0 | 自動運転を実現するための技術(運転自動化技術)が何もない状態。 | 運転者 |
レベル1 | アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらかが、部分的に自動化された状態。 | 運転者 |
レベル2 | アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態。 | 運転者 |
レベル3 | 特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。 ただし、自動運行装置の作動中、自動運行装置が正常に作動しないおそれがある場合においては、運転操作を促す警報が発せられるので、適切に応答しなければならない。 |
自動運行装置 (自動運行装置の作動が困難な場合は運転者) |
レベル4 | 特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。 | 自動運行装置 |
レベル5 | 自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。 | 自動運行装置 |
※車両の操縦のために必要な、認知、予測、判断および操作の行為を行うこと
安全対策
オペレーター(運転手)のほかにCA(支援員)が同乗しました。
走行情報
LINEで位置情報を、市役所正面玄関で走行画像を放映しました。
実証調査ルート
左:関係者検証用ルート 右:一般用試乗ルート
実証調査の検証・分析結果について
検証項目・検証方法
項目 | 検証項目 | 検証方法 |
---|---|---|
経営面 | 地域のボランティアの協力者数 | 公募 |
実証調査を踏まえ、協力・支援いただける事業者数 | 協力・支援を希望する事業者を公募(事業者数・金額) | |
技術面 | 自動運転実施率 | 自動運転車両運行プラットフォームDispatcherにより解析 |
障害物回避回数 | 運行時に同乗しているCAが把握 | |
社会受容性面 | 試乗者、利用者、地域の自動運転等に対する理解と賛意 | アンケート |
地域実装を希望する地域 | 意向調査 |
経営面
自動運転技術は日進月歩で進んでいますが、大量生産に至らずコストが高い状況にあります。そのため、収支バランスを考慮した事業費の確保が重要となります。
今年度は、国の補助を受けながら実証調査を行いましたが、今後自立した運営をしていくための方策が必要不可欠となってきます。
次年度以降は、地域実装に向けた収入面の強化が課題であることから、実装地域の理解と協力を得て、費用のみならず様々な支援が必要不可欠になってきます。
一方で、自動運転は単に直接的なコストだけにとらわれることなく、波及効果などをより広く成果としてとらえ、事業の成否を判断する必要性を感じています。
技術面
- 自動運転レベル2の安全性を確保するために、オペレーターの他に保安員を同乗させました。
- 自動運転レベル2での車両の特性上、手動介入することが生じました。
主な要因としては、次の表のとおりです(エリアについては上記の関係者検証用ルートを参照)。
エリア | 路駐回避 | 緊急停止 | 渋滞回避 | 交差点滞留 | 障害物 | 狭隘道路 | 設定除外 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A1 | 9 | 9 | ||||||
A2 | 1 | 1 | ||||||
A3 | 6 | 6 | ||||||
A4 | 1 | 1 | ||||||
A5 | 3 | 3 | ||||||
A6 | 6 | 6 | ||||||
A7 | 132 | 132 | ||||||
A8 | 144 | 144 | ||||||
A9 | 30 | 30 | ||||||
A10 | 144 | 144 | ||||||
A11 | 72 | 72 | ||||||
計 | 219 | 2 | 3 | 6 | 144 | 30 | 144 | 548 |
なお、車両の特性上、自動と手動を切り替える際に一旦停止する必要があったことや、自動設定した速度をオペレーターが調節すること、停車場所、信号、横断歩道で停止する設定を解除することについては把握し切れていません。
3.ヒヤリハット
車両性能によるものと、他車両の交通ルールの無視、走行ルートの工事による走行不可などにより発生しました。
社会受容性面
短期間でしたが、多くの皆様に試乗していただきました。
内訳 | 実施日数 | 実施日 | 乗車人数 | |||
1日当たり | 1便平均 | 1日平均 | 合 計 | |||
オープニング | 1 | 10月14日 | 38 | - | - | 38 |
関係者検証 | 3 |
10月16日 | 22 | 6.2 | 24.7 | 74 |
10月17日 | 27 | |||||
10月18日 | 25 | |||||
一般試乗 | 10 | 10月21日 | 46 | 6.8 | 40.5 | 405 |
10月22日 | 47 | |||||
10月23日 | 44 | |||||
10月24日 | 33 | |||||
10月25日 | 35 | |||||
10月28日 | 36 | |||||
10月29日 | 45 | |||||
10月30日 | 33 | |||||
10月31日 | 39 | |||||
11月1日 | 47 | |||||
エンディング | 1 |
11月4日 | 69 | - | - | 69 |
合計 | 15 | - | 586 | - | - | 586 |
アンケート結果
利用者からは、安全性や利便性に高評価を得られ、自動運転を信頼していただき、継続的な実施を望まれています。
今後、さらなる社会受容性を高めるために、自動運転技術の進歩による信頼性の向上、交通参加者(歩行者、
自転車、他車両)への啓発、繰り返しの実証調査などが望まれています。
区分 | とても 良い |
まあまあ 良い | どちらとも 言えない |
あまり 良くない |
とても 良くない |
無回答 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
試乗時 | 安全性 | 101 | 97 | 14 | 9 | 1 | 3 |
快適性 | 2 | 55 | 32 | 43 | 2 | 6 | |
利便性 | 73 | 89 | 37 | 17 | 1 | 8 |
区分 | はい | いいえ | 無 回 答 |
---|---|---|---|
公道を走ることを許容 | 198 | 20 | 7 |
自動運転技術を信頼 | 184 | 35 | 1 |
区分 | はい | いいえ | 無 回 答 |
---|---|---|---|
公道を走ることを許容 | 12 | 3 | - |
自動運転技術を信頼 | 11 | 4 | - |
乗降ゾーン | 1便 | 2便 | 3便 | 4便 | 5便 | 6便 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 松戸市役所正面玄関 | 9:30 | 10:30 | 11:30 | 14:00 | 15:00 | 16:00 |
2 市役所竹ケ花別館 | 9:40 | 10:40 | 11:40 | 14:10 | 15:10 | 16:10 |
3 中央保健福祉センター | 9:42 | 10:42 | 11:42 | 14:12 | 15:12 | 16:12 |
4 松戸市役所正面玄関 | 9:50 | 10:50 | 11:50 | 14:20 | 15:20 | 16:20 |
5 松戸駅東口(聖徳大学10号館東側) |
9:55 | 10:55 | 11:55 | 14:25 | 15:25 | 16:25 |
6 松戸市役所正面玄関 | 10:00 | 11:00 | 12:00 | 14:30 | 15:30 | 16:30 |
松戸駅東口の乗降ゾーンへの行き方
1.松戸駅東口を出てすぐの階段を下りる
2.モスバーガーの角を左に曲がり50m進む
3.松戸駅東口乗降ゾーンに到着
教習所内試乗会について
公道での実証調査(試乗)は平日のみのため、より多くの方に自動運転車両の乗車体験をしていただくことを目的として、松戸中央自動車学校内で試乗会を開催しました。
日時
令和6年11月4日(月曜・振替休日)
受付時間:午前9時30分から午後2時まで
場所
松戸中央自動車学校(松戸市根木内681の1)
松戸中央自動車学校内コースにて
協力事業者等
- 松戸中央自動車学校
施設の提供(施設内審査、セレモニー、試乗会) - ホンダカーズ松戸
車両の移送(キャリアカー) - センチュリーオート
緊急時の車両の移送(キャリアカー) - 松戸市小金原地区会
セレモニーへの協力(グリスロの試乗等) - 聖徳大学
乗降ゾーンの提供 - FUJI企画
看板類の作成
令和6年4月1日 | 当初予算額 2,750万円 |
---|---|
令和6年5月29日 | 公募型プロポーザル実施 |
令和6年6月5日 | 公募型プロポーザル選考結果公表(優先交渉権者決定) |
令和6年6月6日 |
地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転社会実装推進事業) |
令和6年6月27日 | 地域公共交通確保維持改善事業費補助金 交付決定 |
令和6年7月25日 | BOLDLY株式会社と委託業務契約締結 |
令和6年7月31日 |
地域コミッティ会議(第1回) |
令和6年9月9日 | 千葉県警による走行候補ルートの現地調査 |
令和6年9月10日 | 松戸市地域公共交通活性化協議会(第2回) |
令和6年10月9日 | 地域コミッティ会議(第2回) |
令和6年10月14日 |
オープニング・セレモニーを実施 |
令和6年10月21日から11月1日 | 公道試乗会を実施 |
令和6年11月4日 | 松戸中央自動車学校にてエンディング試乗会を実施 |
令和7年2月25日 | 地域コミッティ会議(第3回) |
令和7年3月18日 | 地域公共交通確保維持改善事業費補助金 交付確定 |
お問い合わせ
松戸市 街づくり部 交通政策課 交通計画班
〒271-8588松戸市根本387番地の5
電話番号:047-704-3996 FAX:047-704-4590
